※5月の初旬に書いて非公開にしていた日記です。7月公開。林檎の花が咲いているらしい。ほんとうに咲いてるのか気になって、わたしはこころにつっかけを履かせて玄関を出た。五月の夜、空気が肌にしとしとと交わる。やわらかな緑がつま先ににじむ道をぬけると、そこには林檎の木がある。花だ。手元のライトに照らされ淡く発光する白い花。その瞬間、ゆるく浮かんだ景色はすべて透明になって、暗闇は花とこころ以外の存在をうしなってしまった。朝、林檎の木に駆け寄ると、もう花はどこにもなかった。ルシュカ架空のお日記