村上春樹の『僕らのことばがウィスキーであったなら』を読んでいた。最近ずっとアイルランドの作家を読んでいて、アイルランドを舞台にしたエッセイが読みたいと思って探したら春樹がスコッチとアイリッシュウィスキーを飲むために現地にいったエッセイがあったので買った。ここに書いたことがあったか忘れたがわたしは二十代のころ村上春樹がかなり好きでよく読んでいた。でも春樹の小説って読んでいるときはこの世で一番面白いと思うのに読み終わった瞬間にすべて忘れてしまうから不思議。何回読んでも定着しない。わたしは確か『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』が一番好きだったと思うんだけど、どんな話だったかは思い出せない。
ウィスキーのエッセイは大変良かった。確かに村上春樹の小説と言えばウィスキーだよな。わたしはそもそもあんまり酒を飲まない上に蒸留酒が得意じゃなくて、ウィスキーもそんなに好んで飲まない。醸造酒の方がまだ飲む頻度が高い。若いころはアルコール度数の高いウィスキーや焼酎は一滴も飲めなかった。今でも焼酎は飲めないんだけど、ウィスキーは少し飲めるようになった。チョコレートと合わせると魔法のように美味いというのを知ってからだ。特にメイカーズマークが好きだけど、スコッチならライフログがいい。独特の風味がたまに恋しくなる。
酒を美味しく日常的に飲めるっていいなと時々思う。わたしも今日みたいな秋の夜にちょっとウィスキーを飲みながら本を読む、みたいなおしゃれなことに憧れはある。実際はこんな時間にお酒を飲んだら100%具合が悪くなって眠れないので、大人しくお茶を飲んで過ごしている。わたしのことばはどう頑張ってもウィスキーにはならなさそうだ。