犬の話

lusikka
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犬がいなくなった。いってしまった。もう会えない。探してももうどこにもいない。

元は母の実家で伯父と祖母と暮らしていた犬だった。伯父が事故でいなくなり、祖母が病気でいなくなり、うちにやってきた犬だった。

9歳の2月にやってきて、15歳の2月にいってしまった。家族においていかれるばかりの犬だったから、もう誰も見送らせずに済んだのだけは良かったのかもしれない。

毎日泣くでもなくずっとぼんやりしたままだったけど、四十九日が過ぎていまさら心の穴の深さに気づかされてる。つくづく寂しい。どうしようもなく悲しい。

常に心にある、風がすーすー通り抜けてどうしようもない穴と違って、ただただ真っ暗で、何があっても埋まることのない深い深い穴。でもそれはあの子のためだけの場所。