テーマ:自然科学 目標文字数:960文字 1321文字で達成
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「古代ギリシャの大理石に付着している茶色い汚れの謎」みたいな内容の記事を見た。大理石の建造物などで時々見かけるような、あのシミみたいな話かと思っていたが、画像を見る感じだと焦げ付いた鍋底のように見える。それで、この膜にどんな謎が? 200年近くもの間、様々な科学的アプローチによる分析が試みられてきたものの、依然出処不明だそうだ。
以下は要約となる。元記事はこちら。
パルテノン神殿にあった、大理石でできたケンタウロスの頭部の茶色い膜は、遅くとも1830年には確認されている。当時は、この膜は古代の塗料ではないかと考えられていたが、同定を試みると、大理石と空気の化学反応か大理石に含まれる鉄分によるものだと結論付けられた。
1851年、ドイツの化学者が初めて薄膜にシュウ酸塩が含まれていることを科学的調査で突き止めた。これは後世の研究によって裏付けられたが、依然として起源は不明であった。
この膜の起源は、地衣類やバクテリアのような何らかの生命体ではないかとする仮説もあった。ならば何らかの生体的痕跡が残っているはずだと調査したチームがその結果を発表した。
彼らの論文によると、大理石の薄膜は生物由来だとする根拠は見つからなかったそうだ。タンパク質分析とか、LA-ICP-MS(レーザで試料をジュッとやって微粒子にして定量分析するやつ? 何それ)とか、光学顕微鏡による分析とかを行ったようだ。しかし茶色の膜に見られた生物的痕跡は、研究者らの指紋とか古い時代に大理石上で割れた鳥の卵らしき成分とかであった。
生物由来だという線は弱くなった。これは同時に、古代の塗料説も否定しうる材料だそうだ。というのも、古代の塗料は牛乳や卵、骨などの自然物から成るからである。これらは膜そのものからは見つからなかった。
ただ、研究チームは重要なことを発見した。
茶色い膜は2層で構成されている。
それぞれの層の厚みはおよそ50μmで大体均一で、微量に存在する元素の構成が異なっている。しかし、どちらもシュウ酸塩の混合物を含んでいる。
層が分離しているという分析結果は、大理石中の鉄分が表面に移動することで形成されるという説と対立する。ということは、空気反応説とも対立する。
時代の流れの中で、工業化による大気汚染が原因だとする説も考えにくい。
この頭像は、1688年からずっとデンマーク王立美術館で飾られていたため(この美術館がのちにそのまま博物館になったらしい?)、18世紀の工業化の影響を免れているはずだ。少なくとも最近になって運ばれてきたアクロポリスの石よりも。
2層に分かれているということは、各々が違った起源を持つことを示唆している。では着色や修繕のような人の手が加わったのかと言えば、そのような痕跡は見つからなかった。依然として、茶色の膜は謎のままである。
(要約終わり)
古代ギリシャ彫刻は元々は極彩色に彩られていた、みたいな話を聞いたことがある。その話からすると、塗料が剝げずに残った物なのかなと考えたくもなる。しかし、分析によると、ケンタウロスの頭の膜は別に塗料というわけではなさそう。古代からあるものって、遺された時代の長さだけでもうミステリーを作り出すのだから面白い。
書き終えてから
調べ物しながら文章を書くとこんなにも時間がかかるのだな、と辛く感じた。論文を書く人とかこういった記事を書く人はすごい。書き上げるってだけでもうすごい。元記事は800語程度だが、メモを取りながら読むだけで30分かかった。執筆の1/4。こういうのも生成AIに任せれば楽なんだろうけど、そういうわけにはいかないのがこのプロジェクト。読んで、理解して、自分で書く。大変だけど何物にも代えがたい。