【十進】湾

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テーマ:地理歴史 目標文字数:320文字 353文字で達成

所要時間:17'06"

本文

海と聞いて思い浮かべるのは、大抵「青い海、白い砂浜」のような海岸線か、「大海原」とも称されるべき波立つ紺碧がどこまでも広がっているような大自然の光景だ。あるいは、船やカモメの停泊する港および周辺の町のような、人の営みを感じさせる側面を想起することもあるだろう。

しかし、彼の脳内に真っ先に出現した言葉は「湾」だった。

彼自身、湾がどういうものかはよく知らない様子だった。要は海が内陸に食い込むように溜まった場所だろ、ということくらいの理解だった。湾にあたる英単語も正しくは知らない。国際海洋法における定義など、知っているはずもなかった。

つまり、彼には湾に対する愛着がそれほど無かった。無かったはずなのだ。

しかし一度立ち上った鮮烈な湾の字の観念が一晩経っても離れることはなく、彼は最寄りの湾を見に行くことにした。

書き終えてから

文章は長ければ長いほど書くのに苦労すると感じていたけど、いざ320文字と決めて書こうとすると、これもまた難儀した。なんだかんだwords per minuteは1280文字のそれとあまり変わっていない。