【十進】芸術家の名言を調べる時

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テーマ:芸術 目標文字数:960文字 1090文字で達成

所要時間:59'39"

本文

「反復に耐えることが芸術の要件だ」みたいなことを言ったのは誰かしら? ふと思い出したのでネットで調べてみる。こういう漠然とした調べ物は本のページをしごくより、ネットの海から釣り上げるほうが簡単だろう。

しかし、「反復に耐える 芸術」で検索しても、ミニマルアートにおける反復だとか、全体性と反復だとか、あとは不自然な空白が目立つPDFタイトルだとかで、芸術の要件という定義のようなものは確認できなかった。

キーワードが良くなかったなとは思いつつも、現代には強力な文明の利器がまだまだある。2024年現在、調べ物をする際にはおなじみのサーチエンジンに加え、莫大な量のデータを喰らった対話型生成AIも使うことができる。特に、今回のようなどこで聞いたかもわからないような曖昧な質問はとりあえずAIにぶつけてみて、それらしい回答を得ることから手掛かりを探すことができるようになった。

しかし、どうも幻惑を見せられているような回答しかしてこない。「そういったことは特定の人物に帰することはできません」という回答は、まだ自分が著名な誰かの名言だと勘違いしていると納得できる。ところがその後に類似例として挙げられる「ギュスターヴ・クーリエが「芸術は耐えるものでなければならない。それには勇気と忍耐が必要だ」と言っています」とか、「フランク・ロイド・ライトは、「芸術は繰り返しの中で実現され、それが美の秘密だ」と言っています」などは、(翻訳の問題があるにせよ)自力で裏付けできなかった。ちなみに、質問文を「~芸術家の要件だ」にすると、「アンリ・マティスが言いました」とはぐらかさずに返ってきた。これも出典が見つけられなかった。

ただ、彼らについて調べると、彼らの名言がたくさん残されていることがわかった。どれも深遠な響きを帯びていて、その言葉が生まれる境地に至る道程に思いを馳せてしまう。何となく分かっている人の風を吹かせたいなら「核心をついた」言葉なのだ。それは彼らが導いた芸術の要件および過程が、最も適切だと確信している単語と文構造のみで述べられていると感じられるほどシンプルで、それなのに難解だからだろう。(もし彼らの言葉に「核心をついている」と理解を示す人がいたら、なぜお前が核心を知っているのか、と問い質したくなる。その者が芸術家なら知っているのかも。)

結局、冒頭の名言(?)は誰がどういう文脈で述べたものかはわからなかった。もしかしたら著名な人のものではなく、むしろ分かっている風の人間の台詞だったかもしれない。それでも、改めて芸術家が残した言葉に触れられて、何だか心が洗われるような気がした。

書き終えてから

もうちょっと書き足せるようなこともあったと感じる。文の流れを汲もうとすると追加したいところもある。しかし1000字(記号含む)/時では、調べながら書いたにしても時間がかかりすぎている気がする。流し見すれば1分で読み終えられるのに。非効率だ。もっとぱって書いてさっと寝たい。