前情報無しに見始めたので、一瞬実在のモデルが居るのかと思ったがそんなことはなかった。
名だたる賞を獲得した女性指揮者リディア・ターが、教え子の自殺をきっかけにその地位から転落していく。
ターはレズビアンであるが、同時に明確に男性的マッチョイズムの持ち主でもあり、養子の子に自分のことを「パパ」と呼ばせたりしている。オープニングではその「男性らしさ」が凛々しさに映ってビシッとスーツを着こなす姿もカッコいいと感じるが、段々と傲慢な部分がクローズアップされていき、パワハラ・モラハラ的な部分も見えてくる。
このあたりの描写がリアルというか、「あーこういう風に追い詰めてくる人いるよね」という感じで、自分の考えを押し通すために都合のいい理屈を持ち出してくるあたりも非常にターを人間くさくしている。周りの人々もいかにもドラマティックに怒ったりはせず、日常の中で溜まった怒りや不満を爆発させる感じがとてもリアルに思えた。
この映画を観て思い出したのが「セッション」という映画で、こちらは超パワハラ気質な指導者が主人公を追い詰めまくって音楽の高みを目指していく(?)映画なのだけど、どことなく似た雰囲気を感じた(パワハラ指導は音楽業界だとあるあるなのか?)。教え子が自殺しているあたりも共通。あっちは最後まで反省しないが。
冒頭のSNSのやりとりとか、2回見ると意味がわかる描写が多い。ただオルガを追って入った場所がボロボロの廃墟みたいだったのはどう解釈すればいいのかよく分からなかった。住所を誤魔化してたってことだろうか。
作中に出てくるメッセンジャー的なSNSで、背景がカメラでキャプチャしたリアルタイム映像?みたいになっていたんだけど、あれは実際にあるアプリなんだろうか。
最後にちょこっと出てくるゲーム音楽のコンサートはモンハンだったらしい。コスプレイヤーいくらなんでも多すぎでは?