マジでどういうテンションで行けばわからなかった。40年近く同じメンバーでやってきたバンドの、ボーカルが亡くなって初めてのライブ。
正直「櫻井さんのいないBUCK-TICK」を見て、自分がどういう感情になるのか分からなくてとても怖かった。でも櫻井さんはそこにいた。そこにいたからぼろぼろと泣いてしまった。自分だけじゃない、会場にいるファンのほとんどが泣いていたと思う。
「どういう風にライブをやるんだ、こうするしかないよな」と思っていた事が実行されただけではあるんだけど、思っていたよりもそこに「居た」。それが一層櫻井さんの「不在」を感じさせて、曲のたびに泣いた。
ライブ中にふとまた不安になった。これで彼らは未来に進めるんだろうか。どんなに櫻井さんがいるように演出しても、それは過去の繋ぎ合わせでしかない。もう櫻井さんは今井さんの変態アレンジに合わせて歌い方を変えてくれたりしない。この先どうやって彼らはライブをするのか、どうやって曲を作るのか。
でもアンコールのメンバーのコメントで、彼らは、ちゃんと未来に進んでくれるんだと安心した。安心してまたぼろぼろと泣いた。ヒデが「不安だったよね」とファンに語りかけてくれて、ああこの人がBUCK-TICKにいてくれて良かったと思った。
ライブ中に全然笑えていないユータを見て心配だった。コメント中も泣いていて、一番立ち直れていないのはユータなんだろうなと思った。ユータを茶化しながらコメントするアニィに救われた。
今井がこんなにライブ中に喋るなんてと、それをせざるを得ない状況が悲しかった。でもコメントを聞いて、この人が一番未来を向いてるんだと納得した。悲しんでもいいけど苦しまないで、というコメントでまた泣いた。
アンコールでのLove me、音声トラブルで櫻井さんの音声が流れない時間があったけど、櫻井さんがイタズラしに来たんだなと、なんとなくそう思った。次の曲がCOSMOSで、hideが亡くなった時を思い出した。
このライブは、メンバーとファンが未来へ進むための儀式だったのだと、そう理解した。
進め、未来だ
追記
「音楽と人 櫻井敦司」を読んだ。インタビューの中で櫻井さんが自身と今井さんのことを「いつも何かに怯えている少年と、ちょっと面白そうだから行ってみようよって言う少年」と称していて、すごくそれが腑に落ちた。きっと今は他のメンバーの背中を『なんだよ、行かないの!?』と言いながら押しているのが今井さんなんだろう。
インタビューを通して感じるのは、何よりも櫻井敦司と今井寿の「絆」だった。こんなにもお互いを信頼し合っていたのかと、改めて思った。
それだけに、今井さんの感じた絶望はどれ程のものだったのだろう。「笑えねーよ」と、「何死んでんだよ」という言葉に込めた感情はどれだけ大きかったのだろう。
ライブでのメンバーのコメントは、確かに未来に進もうとしていた。でも、それと同時に途方に暮れているようにも見えた。
メンバーが未来へ進んで行けるように、どうか櫻井さん、見守っていてください。