令和2月中旬以降、Xのタイムラインに「分割キーボードに興味がある」「分割キーボが欲しい」旨のポストが見受けられた。多くは、cornixが登場して、その紹介記事を読んだ影響や、昨年よりzmk_firmwareを利用した分割、トラックボール付き、無線の自作キーボードが流行し、それを賞讃するポストの影響によるものと思われる。
私自身のでしゃばりから、一つ一つのポストに返答したくなる気持ちを抑えるため、本記事を執筆することとした。
1 メーカー品、自作界隈か
分割キーボードは自作界隈で多く設計されている。品数の多さは個人開発の強みである。設計者個人の趣向に合わせた、バラエティ豊かな分割キーボードが揃っている。弱みとしては、メーカーのようなサポートを手厚くできないことや、頒布数の少なさによる品薄になりやすいことである。
2018年ごろから自作界隈に片足を入れてきた私には、とても良い自作キーボードの設計者の多くが気がつくと、頒布をやめて、ご自身のエンドゲームに至っている現実を知っている。中には、エンドゲームを目指すことでなく、趣味の範疇を超えて、商売としている方もいる。趣味を仕事につなげることができて、すごいことである。
さて、分割キーボードのメーカー品であるが、2018年ごろには、海外メーカーの分割キーボードがあり、2026年時点では、国内メーカーでも分割キーボードを販売している。メーカー品だけあって、大多数に受け入れられるようなキーレイアウトが多い。そして、サポート面でも安心できると思われる。
私は、「分割キーボードが欲しい」方で、はんだ付けなど電子工作に不安があれば、自作界隈の分割キーボードよりも、メーカー品の分割キーボードを選択することを勧めます。その理由として、メーカーのサポートの充実だけでなく、最終的にはメーカー品も自作界隈も価格的には同じになるか、もしかしたら、自作界隈の方が高くつくことがあるからです。
自作界隈のキーボードの価格設定は、大体が、キースイッチとキーキャップは別売りです(一部、キーキャップ、キースイッチまで込みのほぼ完成品を頒布することもあります)。キースイッチは、1個100円程度(中にはもう少し安いものもあるし、逆に高いもののあります)で、60キーのキーボードならば、6000円かかります。次に、キーキャップですが、この値段は千差万別で、2000円台のものから25000円台のものまでが価格帯です。もし自分の気に入った材質やデザインのものになれば、1〜2万円を払う人も少なくありません。そうなると、キースイッチとキーキャップだけで、20000円ぐらいかかる可能性があります。仮に欲しい自作界隈の分割キーボードの価格が仮に20000円として、そこにキースイッチとキーキャップが別売りならば、購入にかかる総額は40000円ほどになります。
総額40000円も支払うのであれば、それはメーカー品の分割キーボードが買えるぐらいになります。そうなってくると、特別な事情がない限り、メーカー品の分割キーボードを購入することをお勧めします。
私自身は、自作キーボード界隈の片隅にいて、自分専用に分割キーボードを設計して、日常で使用しています。メーカー品の中に、自分が欲しいレイアウトだったり、機能だったりが不足していたからです(実際、不具合ができても、自分で修理できるので、問題はありません)。

(仕事場に置いてある、自分専用の分割キーボード)
自分専用の分割キーボードは見ての通り、キー数は36キーで、赤いボールは12mm球を使ったトラックボールです。メーカー品には、ないような構成です。ここまで尖った構成のものを求めていなければ、メーカー品の分割キーボードがいいです。5〜6年、趣味でキーボードを設計したからこそ、いまの状況は自作の分割キーボードを購入するよりも、メーカー品の分割キーボードを購入する方が、よいと思います。
2 欲しいレイアウトは?
メーカー品の分割キーボードも種類が充実してきて、キーが横ずれのロウスタッガードはもちろんのこと、縦ずれのカラムスタッガード、格子状のオーソリニアのものと充実してきました。ここでは、現在、私がわかる範囲の分割キーボードを羅列していきます(もし、見落としがあれば、教えていただければ幸いです)。 販売元のサイトが不明のものは外しています。写真をつければ、わかりやすいのかもしれませんが、あえて、それはしませんでした。一つ一つのサイトを見て、気に入ったものを探すのも楽しみと思うからです。
<ロウスタッガード>
<アリスレイアウト>
<カラムスタッガード>
<カラムスタッガード+α>
<オーソリニア+α>
<エルゴノミック>
3 メーカー品じゃ満足できなそう...(おまけ)
もし、メーカー品の中に、趣向にあう分割キーボードがなかったときは、「自作キーボードを選べばいいのでしょうか?」、いいえ、違います。もしかしたら、憧れだけで、分割キーボードなんて不要なのかもしれません。HHKBやリアルフォースなどで十分なのかもしれません。「いや! そうじゃない、私は分割キーボードが欲しいんだ!」と思ったら、やや割高になることを覚悟した上で、自作界隈の分割キーボードを考えてみてください。組み立てに自信がなければ、有料ですが、遊舎工房の工作室で作業すること、道具がなくても、スタッフの助言をもらいながら、完成させることができます。自分で組み立てることで、構造がわかるので、もし、自作キーボードが動作不良になったときも、対処できると思います。お金で解決できるのであれば、組み立て代行サービスを利用するのもよいでしょう。ただ、アフターサポートがどこまであるのか確認しておく必要があります。では、メルカリなどフリマサイトで、自作キーボードの完成品を購入するのは、どうでしょうか。これは千差万別です。まず、設計者自身がメルカリなどフリマサイトで頒布しているものであれば、設計者のアフターサポートを期待できると思います。
しかし、次のような例では、期待できません。
私の話ですが、githubにアップロードしていたキーボードのデータを使って、勝手に発注し、やはりデータを使って3Dプリントしたケースを使って完成品を作ってヤフオクで販売していたキーボードについて、私の元にサポートを求めてきたことがあります。私自身には一切の利益がありませんので、サポートをお断りしています。また、二次的な有償配布を禁じているライセンスのデータなので、法的にアウトです。
これは私だけの話ではなく、もっと有名な分割キーボードでも起きている話です。フリマサイトで、設計者自身が頒布していないものを購入しないことは、設計者を守ることと思います。まあ、この文章を読む人に、そのような失礼な人はいないと思って、文章をまとめたいと思います。
読んでいただき、ありがとうございました。
ちなみに、この文章は、自分専用の分割キーボードで書きました。

(同じモデルの自宅用)