格子配列のキーボードを作った話(ckb6について)

m_ki
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公開:2024/6/2

ここ数年、自作キーボードを趣味として楽しんでいます。プログラミングに全く関係ない職業だが、foostan氏の「自作キーボード設計入門」とe3w2q氏の設計したSU120のおかげで、設計ができるようになり、今に至っています。

設計当初から、自分に使いやすい配列はロウスタッガードと思って疑って来なかった。その後、ロウスタッガードを内側に曲げる形であるアリスレイアウトに嗜好は移っているが、根本的な部分で、キーが横にずれている方が好みである。

ただ、基板の大きさに制約を設けて設計したとき、キー数を多く収めようと考えると、格子状に並べるOrtholiner(オーソリニア、格子配列、単にOrthoとも)が適している。そのような制約の中で設計したcool650は、設計者である私の評価よりも、購入する人がいます。格子配列は世の中に受けるものだなと思っています。

その後、さらに基盤の大きさの制約の中で何ができるか探究するようになり、pro microとラズベリーパイピコ、cherry MXスイッチとchocスイッチがそれぞれ選択できるcool640を設計した。cool640はSU120の用に、初心者に優しい、お財布にも優しい自作キーボードとして設計した。PCB1枚500円で、2枚あれば、40%の分割キーボードになるようにした。オフ会イベントである、遊舎工房フリマやキーケットで、3枚1000円の特価で販売すると、そこそこ売れています。

その後、cool640はロータリーエンコーダーやトラックボールなどの追加機能を加えたcool644に発展しました。

これで私自身の格子配列に対する熱も冷めたと思ったのですが、これまでの知見を文章にまとめようと思い、jisaku20という格子配列のキーボードを設計する本「n年目の初心者による 縦100mm×横100mm以内の 自作キーボード設計入門」を執筆しました。

ここまで格子配列のキーボードを作ってきて、流石に「もうないなぁ」と思ったのですが、ロウスタッガードのckb4を設計した後、「これは格子配列でもいけるなぁ」と悪魔の囁きがありました。

ckb4は横10キーで10.25Uの長さです。10キーで10Uの長さにするか、11キーで11Uの長さにするか悩みました。いっそ、12キーで12Uまで考えましたが、私の持っている3Dプリンタの性能(235x235x250の印刷範囲)から、11Uまたは12Uの長さでデザインすると、ckb4のデザインの特徴である縁が細くなり過ぎてしまうと考えました。それゆえ、ckb6は横を10キーで10Uの長さにしました。

ckb6は最下段の2キーを左右のマウスボタンと考えています。ジョイスティックでカーソルの操作をするのは、IBMシンクパッドをのポインティングスティックをイメージしています。右上のロータリーエンコーダーは、マウスの縦スクロールに合わせて、小指で調整します。やや手の大きい私に合わせたデザインとなっています。使い心地は問題ないですが、私は格子配列を常用しないので、NキーからOキーに移る時(「の」と入力)に運指がうまくいかず、誤った打鍵をしがちです。多分、常用すれば解決できる問題なのでしょう。

まとまらないまま、文字を重ねてきました。ckb6は格子配列のキーボードのエンドゲームとして設計しました。気に入ってもらえたら幸いです。