cool642tb_r3を作った理由

m_ki
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公開:2026/4/4

キーケット2025で頒布を開始したcool642tbは、まだ自作キーボード界隈に、オーソリニア、分割、無線、トラックボール付きのキーボードの選択肢が少なかったおかげと、乾電池採用がよかったためか、キーケット以降も、購入希望者がいました。基板を発注して、部品を揃えて頒布を継続してきました。そのうち、電池ケースがメーカーでも欠品となったので、昨年夏頃、電池ケースを変更した、cool642tb_r2を一時的に頒布して対応しました。

その頃、cool642tb購入者の一人から、「狭ピッチ版のcool642tbを作ってもいいですか?」と問い合わせがあり、快諾しました。なかの(@na_ka_no)さんである。9月の東京キーボードエキスポで、なかのさんから「狭ピッチ版のcool642tb」こと「cool642tb-mini」を見せてもらい、1台いただきました。cool642tb-miniはとてもセンスがよくまとまっていた。その場で、cool642tb-miniを是非とも頒布したほうがいいと伝えました。その後のcool642tb-miniの人気は、ご存知の通りです。

特に、私にはライセンス的な利益は一切ありません。ただ、cool642tb-miniが良いものだったので、頒布することで、みんなに広まればいいし、なかのさんの制作にかかった費用が回収できると考えていました。

なかのさんからいただいた、cool642tb-miniをしばらく使ってみて、少し、自分の中で、cool642tbをブラッシュアップできるかなと考えました。

1 cool642tbのケースをcool642t-miniに倣って、もう少し薄くできないか。

2 電池ケース剥き出しもいいが、カバーをつけることができないか。

3 全体的に少し小さくできないか。

などである。

1については、当時、部品数の少ないキーボードとしてcool650lpを設計していたこともあり、ネジをM2 6mmに統一して、スペーサーを使わず、ナットを使用することとした。なんとなく、アクリルでスイッチプレートやボトムプレートを作っていた昔の設計の延長で、スペーサーを使っていました。しかし、そこは3Dプリントのケースで形状を工夫すれば、問題ないと思いました。

2については、xiao bleの配置を工夫することで、できるかなと思い、試行錯誤しました。電池カバーの固定法として、マグネットや引っ掛ける爪も考えてみました。ただ、マグネットでの固定は、不意に外れるかなと思い、早々と断念しました。爪による固定方法は使い続けていると、破損するかなと思いました。最終的に電池カバーにインサートナットを仕込むことで、ねじ止め式としました。もともと電池使用で2〜3ヶ月は電池交換がいらないキーボードなので、まあいいかなと思います。

3については、最初のcool642tbが「エイや!」って感じの勢いで設計したので、もう少し、寸法を考えながら、無駄な部分を剃り落としました。

このほかに、cool642tb-miniについていた水平ロータリーエンコーダがかっこいいと思い、似たものを使いたいと思いました。cool642tbでしようしていた垂直ローターリーエンコーダーは入手性がよいのですが、背が高くなることが難点でした。背の低いロータリーエンコーダにはプッシュスイッチが搭載されていないため、少ないキー数がさらに減ることに耐えられず、採用を断念しました。roBaの設計者のkumakeyさんとの話から、遊舎工房でroBa搭載の水平ロータリーエンコーダが発売されると聞きました。それをcool642tb_r3に搭載できれば、いいかなと思い、水平ロータリーエンコーダのデータシートを見て、cool642tb_r3の左手側を設計しました。大きくはフットプリントを90度回転させたことです。水平ロータリーエンコーダが遊舎工房での発売されるとすぐに購入しました。取り付けようと思ったところ、ややピンの位置が数ミリずれているようで、使えないことがわかりました。ここからcool642tb_r3の左手側の基板を修正すると、さらにお金がかかります。また、発注した基板がただのゴミになるので、自分でcool642tb_r3専用の水平ロータリーエンコーダの基板を設計して発注しました。次の基板(ver.1.01)では遊舎工房で発売されている水平ロータリーエンコーダもつけられるようフットプリントを改良してあります。

このように、昨年、本当に勢いだけで設計したcool642tbを、昨今の事情を加味して、もっとスタイリッシュにブラッシュアップしたものが、cool642tb_r3となります。

キーケット2026で頒布を開始したところ、自作キーボードにおける需要の変化に気付きました。多くの設計者が感じたことと思いますが、来場したユーザーの多くは自作キットを求めるよりも、自作キーボードの完成品を求める比率が高かったです。たぶん、エンドユーザーの裾野が広がったことで、自分で組み立てる自作キーボードでなく、誰かが設計した自作キーボードを使いたい人がユーザー層に新しく参入したのかなと思います。需要の変化に対応すべく、、cool642tb_r3では、<自作キット>だけでなく、<組み立て済みキット>も頒布することとしました。<組み立て済みキット>では、購入者はお好みのキーキャップ42個と単4電池4本を用意することで、すぐにcool642tb_r3を使用することができます。