旅行の計画を立てるのが苦手だ。事前に行きたい場所とルートを考えたり、移動距離と滞在時間の当たりをつけたり、交通機関や宿を調べて予約することにいつまで経っても慣れない。
行程が決まっている旅行も苦手だ。バスや電車に間に合うだろうか、ここの滞在時間は長くても2時間までだな、チェックインまでに宿に着かないと……と考えながらでは手放しに楽しめない。
急な仕事や他の用事が入ること、天候が大幅に崩れる可能性も常に考慮しなければならない。そもそも「予定が決まっている」こと自体が日々の負担になるまである(魂が引きこもりの形をしている)。
なので予定を決めずに車で出かけるのが好きだ。
とりあえず西に行こうとだけ決めて走り出すことがある。目当ての場所があっても気が乗らずに素通りしたり、偶然立ち寄った場所に何時間も滞在したりする。夜通し走って距離を稼ぐこともあれば、せっかくの出先で延々昼寝をすることもある。車から全く降りない日も、車を置いて延々歩く日も、気分次第で決まる。充電や寒暖を気にせず好きなだけ荷物を持っていけるし、現地で何を買い足してもいい。次の仕事に間に合うように帰ること以外に何の制約もない。この気楽さといったらほとんど自分の家が走っているようなものだ。
しかし国内でもこれがなかなか通用しないのが「離島」だ。
当然ながら離島へは、事前に船や飛行機を押さえなければ行くことができない。宿泊場所が限られていたり野宿や車中泊が全面禁止だったりもするので宿の予約も必須だ。カーフェリーか現地レンタカーか、徒歩で周れる範囲で十分かどうかも事前に把握しておかねばならない。地形的に天候に左右されやすく、予定通りに帰れないリスクもある。
それでも、だからこそ、離島は魅力的だ。単に私が山に囲まれた場所で生まれ暮らしているので海への憧れが強いのもあるが、気軽に行き来できない地形ゆえに生まれて残る独自の自然や文化にはやはり惹かれるものがある。
島に行きたいと思って以前『シマダス』を買い、コロナ禍に突入して遠出が難しくなり月日が経った。昨年はようやく遠出の機会が増えたが車を買ったこともありとにかく車での遠出にこだわったので、今年はどこかひとつでも船に乗って島に行きたいと思っている。
↓日本の島ガイド『SHIMADAS(シマダス)』2019年改訂版。編集部の島愛が詰まった素晴らしい鈍器です。