先週Twitterで自炊vs半額弁当のコスパに関する議論を見た。自炊vs外食も含め、誰にとっても身近な話題ゆえに論争が頻繁に巻き起こる。
自炊の方がコスパいいのに、貧乏人ほど半額弁当を買ったりするよね
自炊が安いとかいうのはエアプ、普通に半額弁当の方が安い
まとめて作り置きすれば一人暮らしでも自炊の方がコスパいいよ
自炊は初期投資と余裕と知識が必要、誰にでもできるものじゃない
半額弁当ばかりだと栄養が偏る、健康も考えると自炊すべきだよ
自炊にかける時間がもったいない、タイパが悪い
自炊すると好きなものを好きなだけ食べてしまうのでコスパは別に良くない
などの意見が入り乱れていた。なにせ人によって想像する自炊が「一人暮らしの卵かけごはん」から「家族で毎食一汁三菜」まで、中食は「半額総菜」から「弁当・サラダ・スープ・ペットボトル飲料」まで、外食は「コンビニおにぎり」から「カフェランチ」まで幅広すぎて話がまとまらない。こうした議論において意見が一致するのって「コロッケは買ったほうがいい」くらいじゃなかろうか。
個人的な話をすると、食材を買って自宅で調理して食べることは生活の大前提だと思っているので、それを「自炊」と呼んで外食や中食とコスパを比較すること自体にあまりピンと来ていない。「自炊してる?」と聞かれると「(ホテルや車じゃなく)家で寝てる?」と聞かれているような気持ちになり戸惑う。ずっと外仕事でホテル暮らしなので全く家に帰っていませんという人がいるのと同じく、ずっと外食で全く自炊しませんという人が実際いるのは知っている。でも作って食べることが基本にあり、必要に応じて中食や外食を選ぶ頻度が人によって異なるいうのが自分の感覚だ。
中食や外食を選ぶ理由は、人によって日によって様々だろう。料理が苦手、作る環境がない、作る余裕がない、作る時間を別のことに使いたい、家で作るより買う方が安い、家でつくるより買う方が楽、手作りでは食べられない料理がある、など。作るのが基本と言った私もフライドポテトが食べたければマクドに行くし、出先で小腹を満たしたければコンビニに行くし、楽に済ませたい日にスーパーで半額だったら弁当を買う。
何のコスパが良いかは目的で変わる。「なんでもいいから腹に入れたい」なら半額弁当より家で卵かけごはんを食べる方が安いし、「親子丼を食べたい気持ちを1回満たしたい」なら材料買って作るより半額の親子丼の方が安い。
でも卵パックと鶏肉とネギを買って家に米と調味料があれば「親子丼を食べたい気持ちを1回満たしたい」以上のことができる。親子丼を1食分作って翌日は別の料理にしてもいいし、4食分の親子丼を小分けにしてもいいし、一度に食べきってもいいし、気が変わったらチャーハンや煮物やスープにしたっていい。食材を買って調理することにはこうした自由がある。
また外食で全て賄おうとするとお金がかかるが、「なか卯の親子丼を食べたい」という欲求はなか卯でしか叶えられないし、600~700円で小鉢と味噌汁もついて上げ膳据え膳という手軽さは素晴らしい。このように、自炊vs中食vs外食を一律に比べてコスパを問うことはせめて目的や前提を揃えないと大変に難しいものだ。
これらを踏まえて最初の議論に戻ると、並べた意見の中で一番共感できるのは「自炊すると好きなものを好きなだけ食べてしまうのでコスパは別に良くない」だ。作り置きとかできる人はとてもえらいので自分を褒めたたえてください。
こんな話をしていたらお腹が減ってきた。卵も鶏肉もネギもあるので今日は親子丼にしよう。