映画館のポップコーン、全部マシュマロにならんかな

しお
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映画を観に行ったらすごい勢いでポップコーンを食べる人がいた話。先週Kと映画館に行った。ほぼ満席の最後列で、並びは以下の通りだった。

…人人ポポK私人人ポ人人…(スクリーンは↑向こう)

「ポ」がポップコーンを食べていた人で、挟まれた私たちは両耳からステレオでポップコーン音を聞くことになったのだけど、このうちKの隣に座っていた「ポ」もといお客さんが一際すごかった。今まで出会った中で一番すごかった。

そのお客さんはでかいバケツを抱え、約2時間の映画の間わずかな休憩を挟みつつ、実質1時間50分くらいずっとポップコーンを食べ続けていた。

バケツに突っ込むたびガサゴソとかき混ぜてはポップコーンを鷲掴みし、バリボリムシャムシャと音を立てて咀嚼する。手はせわしなくバケツと口を往復し、塩をまいた力士のように手についたカスを時折払い、また掴んでムシャってを繰り返し、それでもポップコーンは無くならない。四次元か?

映画が終盤戦に差し掛かる頃ようやく底を尽きたらしく、バケツを掲げて残りカスを口に流し込んでいたが、飲み物で小休止したかと思うと次に取り出したのは紙袋に入った別のポップコーン。ガサゴソガサゴソ。あたりを包む香ばしい匂いにキャラメルらしき甘さが加わり、第二ラウンドの開始である。

スクリーンでは主人公が不甲斐なさに涙を流し、恩師が無力さに拳を握りしめ、ライバルは過去に囚われ唇を噛んでいる。静寂の広がる満点の星空が映し出されるが、構いはしない。ガサゴソバリボリムシャムシャズゾゾゾゾ。

ここまで遠慮なくポップコーンを貪る人、初めて見た!!!

ああこれTwitterに書きたいな。でも絶対炎上するやつだよな。

「ポップコーンは映画館が公式に売ってるんだから文句言う方がおかしい」「他人が気になる神経質な奴は映画館に来るな」「軽食とドリンクが映画館の大事な収入源なのを知らないのか」「映画館にお金をより多く払っている人はお前と違って自由にポップコーンを食べる権利がある」

あ~目に見えるようだ。

「公式だからって必要以上の騒音が何でも許されるのはおかしい」「音を立てて自由に飲み食いしたい奴こそ家でやれ」「収入源であることと他の客に迷惑かけることは別問題だ」「こっちだって安くないチケット代払ってるんだから静かに映画を見る権利があるだろ」

あ~やだやだ何を言っても無駄。

買うなとも食うなとも思わない、ただガサゴソバリボリムシャムシャしないでほしいだけだ。せめて上から順番につまむとか、口を閉じてゆっくり噛むとか、シリアスで静かなシーンでは手を止めるとかしてほしいだけなんだ。でもそれができない人、気を付けようと思わない人がいるのも仕方ない。そもそもなんであんなに音の出る食べ物が今だに一番の定番商品として君臨しているのか、そこに根本の問題がある。新定番になって久しいチュロスは比較的静かだし、大抵の人は早々に食べ終わるのでああいうのがいい。映画館のポップコーン、全部マシュマロにならんかな。

「原価と管理と掃除のコストが~」「ポップコーンにはこんな歴史が~」「塩気に需要があるので甘いものは~」

うるせ〜〜〜!!!!!!知らね〜〜〜〜!!!!FINAL FANT ASY

こんな調子で脳内Twitterでバトルが始まり、途中映画に全く集中できなかった(これは私が悪い)。

席を予約したのもセンターに近い「ポ」側を譲ったのも私なので負い目を感じ、帰り道にKに「ごめんね、大丈夫だった?」と聞いたら「あんな勢いでポップコーン食べ続ける人もそれで全然無くならないポップコーンも初めて見たから、むしろ途中から面白くなってきた」と言っており、その後上記のような話をして溜飲が少し下がった。下がったのにまだ書くんかい。そういう日もあります。

@m_shiroh
140文字以上の文章を書く練習をしています。