餃子が好きだ。どれくらい好きかというと、今日は餃子が食べたいと思って材料をカゴに入れたのに待ち遠しすぎて総菜餃子も買ってしまい、それを食べながら餃子を作ってしまうくらいだ。
1人前=餃子の皮1袋分だと思っているので一度に20~50個食べるし、そういう家で育ったので店では5~7個が1人前と呼ばれていることに驚く。自分で皮から作ることもあるが、皮だけでおなかいっぱいになってしまうのであまりやらない。水餃子も揚げ餃子も良いが、やはり慣れ親しんだ焼餃子が一番好きだ。
以前、会社のえらい人に「たしか餃子好きだったよな? 〇〇っていう餃子の店は知ってるか?」と聞かれ、あまり外食しないので知らないと答えると「ほんとに餃子が好きなのか?」と疑われた。店で食べる餃子ももちろんおいしいが、私は私が作る餃子が好きなので、餃子の店に詳しいわけではない。
そもそも、家でつくる餃子だけなんか違うといつも思っている。
家でつくる餃子は、愛情だとか云々抜きにして格別においしい。単に食べ慣れているだけという可能性も高いことは承知の上で、だとしても家以外の餃子とは大きく違う。店で食べる餃子、スーパーの総菜餃子、チルド餃子、冷凍餃子、どれもそれぞれにおいしいが、食感がぺにゃぺにゃしていたり具の食べ応えが軽かったりして、家でつくる餃子と全く違う食べ物だと感じる。
では「家でつくる餃子だけなんか違う」と思っている人たちが家でつくる餃子同士は似ているのか、それとも別物なのか?
それを検証すべく「家でつくる餃子だけなんか違う」と思っている友人たちと検証する会を開いたことがある。各々の「家でつくる餃子」の和集合となる材料を買い出し、各々いつもの皮・餡・包み方・焼き方で人数分のパターンの餃子をつくり食べ比べた。
皮はどれを選ぶか
肉は挽肉か、バラ肉を叩いて食感を出すか
生姜とニンニクは刻むか下ろすか
キャベツ、白菜、ニラ、玉ねぎ、青ネギ等のうちどれを使うか
しいたけ、春雨、卵など追加要素はあるか
調味料や旨味成分は何をどれだけ使うか
包み方と餡の量
サラダ油かごま油か、仕上げにも油を足すかどうか
水かお湯か、羽はつけるか、片栗粉か小麦粉か
餃子の並べ方、火加減、蓋するタイミング
つけダレは何を調合するか
作り方に大幅な差はないが、細かく見れば多数の分岐がある。互いのこだわりを披露しながら焼き上げ、食べ比べた結果は「多少差はあるが、家以外の餃子との差には遠く及ばない」。つまり家でつくる餃子は家でつくる餃子という種類の食べ物である可能性が高いという結論に至った。
同じ疑問を持ち餃子を焼くためだけに関東や関西から駆けつけてくれる友人たちに恵まれてありがたい。
しかし私は家でつくる餃子が一番だと信じるあまり、店で食べる餃子、スーパーの総菜餃子、チルド餃子、冷凍餃子についての経験と知識があまりにも少ない。各カテゴリの中にも多様性があるだろうし、ちゃんと知らなければ一概に家でつくる餃子とその他の餃子が別物だとは言えないはずだ。そういえば昔、えらべるギフトで北海道の専門店の冷凍餃子を取り寄せたときあまりのおいしさに仰天したことがあったっけ。
もっと餃子のことを知る必要がある。そう思った取材班は餃子の探求を続けるのであった。