結婚情報サービス「ゼクシィ」が事実婚カップルや同性カップルを新広告に起用し、「あたなが幸せなら、それでいい。」というキャッチコピーをつけたことが賛否を招いている。広告内には他にメッセージも添えられているので、話題を初めて見る人は以下記事内の写真で確認してほしい。消えてたらすみません。
賛否についてすごく大雑把にまとめると、
肯定派の意見は
結婚といえばの大手ゼクシィが同性カップルを初めて広告起用したことには大きな意義がある
「結婚できないけど、せめて結婚式だけでも…」と願う同性カップルの助けになるといい
こういう広告が当たり前になって社会の偏見が薄れ、いずれ法整備につながる後押しになることを期待したい
否定派の意見は
結婚できない現状があるのに「幸せならそれでいい」は他人事すぎるし、そういう言葉で多様性を認めることが素晴らしいという段階はもう過ぎている
解決すべき社会の課題を幸せかどうかという個人の感じ方に押し込めている/すり替えている
結婚を選べない人がいるのに「結婚しなくてもいいし、何度結婚したっていい」はひどいんじゃないか
こんな感じかと思う。「ブームに乗って話題を作りたいだけでしょ」「結婚する人が減ったから同性カップルからもお金取りたいだけでしょ」とかは横に置いておきます。
こういうコピーやCMの話題があると私はどちらかといえば賛否の否に片足置いてまず見てしまうのだけど、今回率直な感想としては自分でも意外なほど大丈夫だった。賛否でいえば賛寄りです。
同時に、肯定と批判が両方ある理由もすごく分かった。
「あなたが幸せなら、それでいい。」って言葉、親にだったら言われたい肯定的な言葉だけど、同時に同性婚反対の文脈でよく使われる言葉でもあるんだよね。「あなたたちが幸せならそれでいいじゃない、なんでわざわざ結婚したがるの? 同性婚にこだわる必要ないよね?」という具合。同性婚まわりの言説をよく見聞きする人にとっては、これを想起しない方が難しい。
また添えられている「結婚しなくてもいいし、何度結婚したっていい」も、結婚を選べない人たちを起用しておきながらなかなか残酷だ。「家を建ててもいいし、何度住み替えたっていい。あなたにとって住み心地がよければ、それでいい。」という住宅広告の横に戸建てを買える裕福家族と市営住宅以外選べない貧乏家族を並べたら駄目だよね。そんな感じ。
でも最後の「どうか選べますように」は、私には優しい響きとして届いた。さっきの「結婚しなくてもいいし、何度結婚したっていい」はそれだけ見れば残酷だけど、この一文があることで
「結婚しなくてもいいし、何度結婚したっていい。それは異性カップルだけじゃなく、本来は同姓カップルも同じように選べるはずの選択肢だ。どうかそれらを誰もが自由に選べる社会になりますように」
という願いと受け取ることができた。かなり意訳だけどね。「幸せならそれでいいなんて言われなくても既に幸せです」とも「それでいいなんていうけど結婚もできず偏見もある社会では幸せになれません」とも思うけどね。幸せかどうかなんて目もくれず「とにかく同性愛なんてありえない」という考えの人だって令和になってもまだまだいるのが現実です。政治家とか、親とかね。
なので結婚関連で知名度あるゼクシィが同性カップルに焦点を当てて「結婚式」だけでなく「結婚」を選べるようにと願ってくれることは、個人的には結構希望に感じたんです。
言葉選びはうまくないと思うし巻き起こった批判はどれも真っ当なものなので真摯に受け止めてほしいけれど、それでもこれに懲りず共に歩む姿勢を崩さずにいてくれると嬉しい。