
ショートSNS「ブラックキャット・カーニバル」(通称ブラキャニ)を始めた。これがとっても楽しくて、まだ数日だけどすっかり気に入ったので紹介文を書こうと思う。しずかなインターネットをやってる人には刺さるところがある気がするので、微力ながらひとりでも多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。
◆「ブラックキャット・カーニバル」(通称ブラキャニ)の紹介
ブラキャニは、2024年12月20日に正式リリースされた新しい国内ショートSNSだ。今のところiOS版とAndroid版のアプリで利用でき、PCブラウザからは雰囲気を知るためのシミュレーターのみ公開されている。公式サイトはこちら↓
ざっくり言えば「文字や画像を気軽に投稿できて、それを見た誰かがコメントやスタンプで反応してくれる」という交流サービスだ。それだけ聞けばスタンダードなSNSなんだけど、実際やってみると「新しい体験ができてる!楽しい!」という実感がすごくある。
始めてみて驚いたのは、誰でも一言投稿すれば多くの場合数分のうちにコメントがつくこと。交流が活発なんだけど、それが全然お互いの負担にならないように工夫されていて、知らない誰かとの交流で発生する喜怒哀楽のうち「喜」と「楽」のおいしいとこだけ食べてるような感じだ。
↓私は今のところごはんの記録を載せていて、これが1つ目と2つ目の投稿。挨拶もなく写真を載せただけでコメントがいくつも届いた。嬉しい。

特筆すべきは、コメントがみんな楽しくてノリが良くてやさしいところ。ごはんには「おいしそ~!」、「寒い」には「あったかくしてね!」、「ブラキャニ楽しい」には「わかる!」がすぐに飛んでくる。匿名だからみんな気軽にコメントをくれるし、自分も楽しくなってどんどん誰かにコメントを送る。他のSNSでは絶対やらないことがここだとできてしまう、居心地の良さとやわらかな連帯感がある。
コメントのしやすさ、荒れにくさ、人の善の部分で交流が生まれる空気感は、開発者さんの明確な意図によるUIデザインの工夫と、ねこちゃんの可愛さによるところが大きい。なんたってまず、「ブラックキャット・カーニバル」って名前がかわいい&ハッピーすぎる。自分の投稿を誰かが見ているときには画面下にねこちゃんが現れるので、ねこちゃんをロールプレイする気持ちでコメントを楽しんでいるユーザーも多い。ねこちゃんがいると人はやさしくなれるのだ。

あらためてブラキャニの特徴や仕組みを見てみよう。
投稿者は3つまで部屋(ルーム)を持つことができ、自分の部屋に言葉や画像を投稿していく
閲覧者はみんなの部屋をスワイプしながら渡り歩いていく
閲覧者は投稿に対して匿名でコメントやスタンプを送ることができる(通知はアプリ内バッジのみ)
投稿者は閲覧者に対して返信や引用で反応してもいいし、しなくてもいい(通知は無し)
みんなの投稿が一覧で並ぶ、いわゆる「タイムライン」は存在しない
匿名のブックマークはあるが「フォロー」は存在せず、誰が見ているかはわからない(ブーストという支援機能を使ったときだけ名前が残る)
「中学一年生が目にしても大丈夫か?」を基準にした投稿規約がある
これらの組み合わせによって、他人と比較や競争することなく自分の部屋でマイペースに投稿を重ねることができ、そこに名前も知らないねこちゃんたちが遊びにきていつのまにかコメントを置いていく、そんな平和な仕組みが成り立っている。
コメントがもらえると嬉しくて、誰かにも気軽にコメントしたくなる。どこかで交流が生まれている様子を見ているだけでもあたたかい気持ちになる。この居心地の良さを維持したい、盛り上げていきたいという多くのユーザーの前向きなモチベーションで良いサイクルが回っているのがブラキャニの今の状況だ。
サービス設計の工夫とそれによって生み出される新しいSNSのあり方など、ブラキャニの詳細については以下の記事を見てもらえたらと思う。そしてぜひ、このやさしい世界に足を踏み入れてみてほしい。
↓ブラキャニの経緯・方針・理念がよくわかる開発者さんの記事
↓私がブラキャニを知って興味を持つきっかけになった方の紹介記事
◆ブラキャニ雑感
ここからは上記以上に個人的な感想を書いていく。長いです。
ブラキャニってこんな感じ
ねこちゃんがほんとうにかわいい。「ねこちゃんたちコメントありがとうね」とか「ねこも応援してるよ!」とか言ってるユーザーのみんなもかわいい。
あまりにも気軽にやさしいコメントがもらえてしまうので、自己肯定感がふわっと上がる感じがする。いろんな人にこの感じを体験してほしい。
誰でもない「誰か」とコミュニケーションするのってこんなに楽しかったんだ、そういえばTwitterも始めた当初はそうだったけな……と、SNSひいてはそれ以前のインターネットの良さを追体験している感覚。「お風呂入る!」「いてらー!」「えらすぎ」とか見てるとなつかしい気持ちになる。
次の人のために扉を少し開けて待つとか、ごちそうさまと言って飲食店を出るとか、横断歩道を渡る人と停まった車の運転手が会釈し合うとか、道端の弾き語りに足を留めて拍手するとか、水族館で隣の子供が「ペンギンだね!」って笑うので「ペンギンだね~」って返事するとか、ブラキャニの交流ってこういう温度感かも。
自分が触れてきたものの中ではソーシャルゲーム「Sky 星を紡ぐ子どもたち」の感覚に一番近い。その世界の中ではいつも知らない誰かの気配が近くにあって、でも干渉し合わなくてもそこにただ居ることを楽しめる。偶然出会ったユーザーと一緒にパン焼いて、暇な時間は踊って拍手して、お辞儀だけして別れる、その場限りの交流が心地いいあの感じ。
開発者さんは初代ニコ生開発リーダーの方で、その後もCtoCプロダクトにこだわっていらっしゃるとのこと。すごいなあ……私は生主ではなかったけど動画投稿してた時期があるので、拙い動画ながらも色々コメントをもらってひとつひとつが嬉しかったのを思い出した。
知り合いをつくったりコミュニティを形成したりコンテンツをストックしてポートフォリオにしたりって感じではないので、既存SNSとの差別化や得意分野の違いがかなり明確。開発者さんも他SNSからの乗り換えは想定しておらず、併用を前提に考えているとのこと。
既存SNSでの交流や意図せぬ競争に疲れてしまって、誰が見てるかもわからない環境でのびのび好きなことを書きたい、でも誰かには見ていてほしい、いいねと思ったらいいねって言いたい……そんな欲求に応えてくれる点で「しずかなインターネット」との相性がとてもいい。
Twitterから他に引っ越せない理由は「知り合いや、好きな有名人や、情報を追いたいコンテンツの公式がたくさん集まってるのが結局Twitterだから」って人が多いと思う。自分もそう。だけど知り合いでも有名人でも何かの公式でもなんでもない、ただ「ブラキャニに集まった知らない誰か」との交流がここにはあって、それがすごく楽しいのは発見だった。
人それぞれの使い方
フィードバックがあるとやる気が出るので、何か継続的な取り組みを記録をするのにかなり向いてると思う。勉強、運動、ゲーム、写真、お絵かきなど。もちろん日常のどんな話題でも反応がもらえると嬉しいのでQOLがちょっと上がることまちがいなし。
何かを頑張ってる人同士の交流アプリって色々あるけど、ブラキャニは別にそういうくくりで集まってないのがいい。人はみんな何かを頑張ったり頑張らなかったり、ただ生活してたりちょっと疲れたり、いろんな瞬間がある。何を好きか、何に取り組むか、何に重きを置くかも違う。そういういろんな人たちが集まっている中で、「えらい!」「お疲れ!」「ゆっくり休んでね」って知らない人に気軽にエールを送り合えるのがちょうどいい感じ。
3部屋作って気軽に行き来できるのと、別のSNSに本宅が既にある人がほとんどということもあって、何かに特化した部屋を作ってる人が結構多い。個性が強い&まだアカウントが少ないため、おすすめ部屋を巡回しているうち顔ぶれをなんとなく覚えてみんなに親近感を持ち始めた。
ざっと見てて印象深い部屋
ブラキャニとは何かを考察し続ける部屋
淡々と毒にも薬にもならない嘘をつき続けている部屋
主もコメントもお嬢様言葉で話す優雅な部屋
人語以外で会話を続けている部屋
たけのこニョッキやしりとりにチャレンジしてる部屋
自分の今の使い方
私は今のところ毎日食べたごはんを載せている。元々毎日写真を撮っていたので、せっかくなら誰かに見てもらえたらいいな、誰かに見せることでやる気が5%増えてごはんが豊かになったらいいなと思ってる。1日約3回で頻度もちょうど良い。
ごはん写真はしずかなインターネットにも何度かまとめて載せたことがあるけど、一食ずつに毎回「おいしそう!」ってコメントもらえるの、嬉しい通り越して何かいけないことしてる気持ちになってきた。
部屋は3つまで作れるので、あと2つを活用するかどうかは考え中。雑談まで始めたら心地良すぎてTwitterに書くことなくなっちゃいそう。まあ今ほとんど使ってないんだけども。
今延々と増やしてるこの箇条書きも、ブラキャニに投稿したらひとつひとつにリアクションがつくかもしれないんだよな。そう思うと何も気にせず壁打ちしたいときは、それはそれで適した場所があるなと思う。こことか。
知り合いにすごく勧めたいけど、知り合いのいないSNSで気ままに遊ぶ楽しさを知ってしまったゆえのためらいがある……なので今、これを見てるあなたに勧めています。
ブースト
ブラキャニには「ブースト」という機能があって、ログインしたり誰かにコメントするとブーストポイントがもらえる。もらったポイントを使って自分や誰かの部屋をブーストすると、その部屋がおすすめに出やすくなる仕組み(ゼロじゃなければ数字の大きさはあまり影響しないらしい)。
ブーストがあることで部屋ごとのポイントが可視化されたりランキングに載ったりするけど、それが特に競争にはつながってなさそうなところが不思議というかうまいなーと思う。ねこちゃんロケットが打ち上がるのが楽しいという理由だけで知らない人にどんどんブーストしてる。
誰かにコメントするとポイントがもらえるけど、コメントの動機が全然ポイントじゃない。自分がやさしいコメントもらって嬉しかったから、誰かにもやさしいコメントをしようっていう気持ちに勝手にポイントがついてくるって感覚。
ブーストは唯一名前が履歴に残るので、ささやかな非匿名コミュニケーション手段でもある。なのに「せっかくブーストしてあげたのに、あの人はこちらをブーストしてくれない!」みたいな感情もかなり生まれにくい感じがしている。やっぱり不思議だ。ねこちゃんパワーかな。
ブラキャニの今とこれから
サービス開始から日が浅くてみんなに熱量があり、まだ人数が少ないからこその居心地の良さというのは正直あると思う。開発者さんによると、2025/1/28時点で週間ユーザーが600~700名くらいとのこと。
人が増えても使用感が大きく変わらないようにうまく設計はされてると思う。でも実際増えたらどんな感じになるんだろう。同じ人に再会するのが難しくなりそうなのと、治安維持が問題になりそうかな。どんなに工夫しても諍いや荒らしをゼロにはできないので……
開発者さん、今は運営費の捻出とユーザー集めに苦慮していらっしゃる様子。それを応援したりアイディアを出し合うねこちゃんたちの様子もブラキャニの片隅で見ることができる。もちろん気軽に参加することも。稀有な触感のSNSなのでなんとか続いてほしい。
少しでも気になったひと、よかったらブラキャニやってみてね。