僕には負け癖がついている

maa39
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# 勝ち癖の力:ある重量挙げ愛好家の物語

東京の喧騒の中、重みを持ち上げる音と努力のうめき声が響くジムで、私は都内最高のトレーナーと向き合っていた。彼の言葉は、単に重量挙げのアプローチを変えただけでなく、個人の成長と成功に対する私の見方を根本から覆すことになった。

「君は今、勝ち癖をつけているところだ」

トレーナーは、長年にわたって体と心の両方を鍛え上げてきた経験から滲み出る智慧の光を目に宿しながら言った。

「このジムに足を踏み入れるたび、バーベルを握るたび、君は単に重りを持ち上げているのではない。自分が達成できることへの信念を持ち上げているんだ」

汗が眉から滴り落ちる中、私はその言葉の奥深さに圧倒された。彼が語っているのは、ただのビセップカールやデッドリフトの話ではない。人生そのものについての教えだった。

## 真実の瞬間

「重いバーベルの前に立った時」トレーナーは続けた。「君には二つの選択肢がある。『俺にはできる』と思ってリフトに挑戦するか、それとも『こんなに重いものは無理だ、不可能だ』と思ってバーベルをラックに戻すかだ」

私は頷いた。ウェイトラックの前に立ち、決意が揺らいでいた数えきれないほどの瞬間を思い出した。自分の限界に挑戦するのではなく、安全で快適な重量を選んでしまった回数は、いったい何回あっただろうか。

「でも、本当の危険はここにある」彼は警告した。「3回のセットをやるつもりで始めたのに、最初の1回目の途中で『重すぎる』と諦めてしまうこと。そこで成長は止まる。そこで『負け癖』がついてしまうんだ」

その言葉は、私の腹に重く響いた。ジムだけでなく、人生の様々な場面で、まさにそのような行動をとってきたことに気づいた。困難に直面するとすぐに諦めてしまうプロジェクト、道のりが険しく見えると目標を下げてしまう習慣。

## 繊細なバランス

しかし、トレーナーが指摘したように、解決策は単純に毎日限界まで自分を追い込むことではなかった。

「毎回の練習で最大重量に挑戦するのは、怪我や燃え尽きの近道だ」と彼は注意を促した。「大切なのは、トレーニングの一貫性と、真の挑戦の瞬間を見極めることだ」

このバランスこそが、勝ち癖を身につける核心だと私は悟った。それは常に過酷な努力を続けることではない。日々着実に進歩し、強さと自信を積み重ねながら、同時に自分の限界を超える決定的な瞬間を見極め、そこで全力を出し切る能力を養うことだった。

「普段のトレーニングでは、徐々に筋力を向上させることに焦点を当てる」とトレーナーは説明した。「しかし、タイミングが合い、体と心の両方が準備できた時、そこで大きな挑戦をする。そして成功した時、君の脳は『できた。もっとできるかもしれない』と信じ始めるんだ」

## 進歩の心理学

会話が深まるにつれ、このアプローチが持つ深い心理的影響を理解し始めた。新しいことや未知のものに直面するたび、私たちの脳は本能的に警告信号を発する。それは潜在的な危険から身を守るための原始的な反応だ。

「君の脳は信号機のようなものだ」とトレーナーは考え深げに言った。「未知のものに直面すると、明るい赤信号で『止まれ』と指示する。しかし、私たちの仕事は、その信号を慎重に、計画的に、赤から黄色、そして緑へと変えていくことだ」

このプロセスこそが成長の本質だと気づいた。無謀にすべての赤信号を無視して突っ走ることではない。かつては不可能に思えたことが、今は手の届く範囲にあると、徐々に自分の心に納得させていくことだった。

「一度は恐ろしく思えた重量を成功裏に持ち上げたとき」彼は続けた。「君の脳は『あまりに辛かった、もう二度とできない』とは考えない。代わりに『やればできた。次はもっとできるかもしれない』と考える。それが黄色信号から緑信号への変化だ。それが成長なんだ」

## ジムの外へ

その日、ジムを後にしながら、筋肉は痛んでいたが心は新しい理解で満ちていた。これらの教訓は、重量挙げの世界をはるかに超えて広がっていることに気づいた。

人生で、自分の能力を超えていると思い込んで挑戦を避けてしまうことが、どれほどあるだろうか。最初の困難に直面して諦めてしまい、知らず知らずのうちに「負け癖」を強化してしまうことが、どれほど多いだろうか。

トレーナーの言葉が頭の中で反響した。「最も重要なのは、一貫してトレーニングを続けること。限界を超えるべき重要な瞬間を見極めること。そして何より、決して心を折らないことだ」

自分の人生を振り返り、諦めてしまった目標や、あまりに野心的だと判断して手放してしまった夢のことを考えた。コンフォートゾーンから抜け出すことの重要性を理論的には理解していたつもりだったが、実践に移す方法を本当の意味で把握していなかったことに気づいた。

## 新たな始まり

東京の賑わう街を歩きながら、新たな可能性の感覚が体中を駆け巡るのを感じた。確かに、人生の多くの面でまだ弱い自分がいる。確かに、まだ数え切れないほどの挑戦が待っている。しかし初めて、自分はもっと強くなれる、成長できると心から信じられた。

この旅は決して楽なものではないだろう。疑いの日々や失敗の瞬間もあるはずだ。しかし、この「勝ち癖」についての新しい理解を武器に、それらに立ち向かう準備ができた気がした。小さな勝利の一つ一つが積み重なり、可能だと信じられることの境界線を少しずつ押し広げていく。

人生の多くの側面でまだ弱い自分がいるが、もはやそのことに落胆してはいない。代わりに、それを成長の可能性として、これから征服すべき領域として捉えている。前途は長いが、一歩一歩、一つ一つの挑戦を乗り越えるごとに、その重要な「勝ち癖」を身につけていっているのだと確信している。

アパートに到着し、振り返って街のスカイラインを眺めた。どこかで、決意と成長の音に満ちたジムの中で、賢明なトレーナーが別の人を自らの啓示へと導いているのだろう。そして私はここに立ち、自分自身の旅の始まりに立っている。単に体だけでなく、心と人生を変える準備ができている。

「勝ち癖」は、単により重いウェイトを持ち上げたり、特定の目標を達成したりすることだけではない。それは心構えであり、勇気と忍耐と成長する能力への揺るぎない信念を持って人生の挑戦に立ち向かう方法なのだ。それは、心の中の信号機を、一つ一つの小さな勝利を重ねながら、赤から緑へと変えていくことなのだ。

アパートに足を踏み入れながら、これからの展開に胸が高鳴るのを感じた。肉体的にも精神的にも強くなる旅は、まだ始まったばかりだ。しかし日々、一つ一つの挑戦に立ち向かうごとに、自分が強くなっていくのを感じている。そして、それこそが最大の勝利なのかもしれない。