オンボーディングを焦らない

macchiitaka
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転職して 1 ヶ月経った。せっかくなので最初 1 ヶ月で意識していたことを言語化してみる。

中長期的なパフォーマンスを最大化する

まずは何よりもとにかく焦らない。これに尽きる。

転職直後はとにかく不安だ。一人じゃ何もできない。転職前とのパフォーマンスの差で自信がなくなる。どん底に落ちると言ってもいい。とても不安になる。不安だと目先の成果が欲しくなってしまう。わかりやすいアウトプットを出して安心したくなる。

しかし、入社直後に解決できる課題は限定的だ。すでに顕在化していて、整理されていて、標準的なスキルで解決できる小さな課題になりがちだ。学習よりも慣れの要素が強い。もちろん小さな成功体験が安心感を生むし、自信にもつながる。しかし、最初から解決できる課題はドメイン知識が不要で、学習の要素が少ない。できることの中からアウトプットに走ると、自分の学習を妨げてしまう。初速を重視するあまり、学習機会を失ってしまっては本末転倒だ。

どんなに優秀な人でもオンボーディングには時間がかかる。本当の意味でオンボーディングを終えるには 1 年かかると思っている。焦らなくても大丈夫。入社直後に成果を求めるのは組織側の期待値が高すぎると思っていい。中長期的に自身のパフォーマンスを最大化するために、焦らずに学習を積み重ねる。

課題解決の前に課題発見

今回はシニアエンジニアとしての転職だ。事前に期待値の調整はしつつも、ある程度パラシュート人事になることは避けられない。組織や事業全体のアウトカム向上が求められる。

その観点で重要なことは課題設定だ。課題設定を見誤るとどんなに課題を解決してもアウトカムに繋がらない。だから顕在化している課題の解決に走る前に、潜在的な課題を見つけるべきだ。ここでも急がば回れの精神で進めていく。

視野を広げるために全員と 1on1 をさせてもらった。まだ全員と話すことが現実的な人数規模なのは幸いだった。事業計画、ビジネスモデル、マネタイズモデル、組織構造、コミュニケーションパス、開発プロセス。ビジネスと組織の全体像を描きながら、重要度の高い課題を探っていく。

これは小さな課題解決を積み重ねるのとは真逆のアプローチだ。抽象から理解して、具体を後回しにしている。視野は広がったが、解像度は低いままだ。結果としてコードのアウトプットが少なくなる。ここでも焦らない。こうした動きをすることを事前に会社と話し合っておくと、いくらか安心して取り組める。

残業は 20 時間以内

転職によって事業、人間関係、システム、すべてが新しくなる。インプット過多な時期でもある。非常に疲れやすい時期だ。以前と比べて燃費が悪い。同じ 8 時間労働でも、脳も、心も、体も疲れやすい。

同時に新しい環境へのワクワク感でエネルギー量が多い時期でもある。自分を魅せたい気持ちもあるだろう。だからバランスを失いやすい。疲れやすい時期であると同時に、疲れを自覚しづらい時期でもある。

ここでも焦らない。最初はテンションで動けてしまうかもしれないが、80%くらいで切り上げる。しっかり休んで、フレッシュな脳で翌日の仕事に取り組む。疲れでオンボーディングに集中できなければ、それこそ本末転倒だ。オンボーディングが進めばパフォーマンスは自然と上がってくる。しっかり休もう。

わからないことを伝える

客観的に見て、この時期はどんなことでも質問できる。この時期以上に質問しやすい時期はないと言っても過言ではない。時期を逃すとしづらくなる類の質問もある。だから時期を逃さないことだ。

とはいえ当人からすれば質問しづらい時期でもある。人間関係が構築できておらず、自信を失いがちな時期だ。「こんなことを聞いていいのか」「まずは自分で調べよう」と遠慮してしまう。だがそこは遠慮せずに、わからないことをわからないと発信していく。

自分がオンボーディングを設計、提供する側に立つとよくわかるのだが、相手のわからないポイントを理解するのは難しい。だからわからないポイントを言語化することは、教える相手にとっても助けになる。そこさえ明確になれば、相手に合わせた説明ができるし、それ自体はさほどコストではない。遠慮はあれど、そこは遠慮せずに、わからないことをわからないと言語化していく。

ただ、実際にはわからないことを言語化するのは難しい。何と言ってもわかっていないのだから、言語化が難しいのは当たり前だ。まずはわからないことを言語化する、ここまでをアウトプットのゴールとして目指す。

オンボーディングを設計、提供する側に立つ

過去にオンボーディングを設計、提供する側に立った経験が、自分自身のオンボーディングに役立った。そのとき自分が迎え入れたかった相手と、今の自分は何ら変わりがない。過去の知識と経験から自分を客観視できる。自分に無理な期待値を設定せずに済む。さらに自分で自分のオンボーディングを設計することもできる。何がわからないのかも、過去との差分から推測できる。

だから機会があればオンボーディングする側に立ってみるといい。それが未来の自分の助けになる。

視野から解像度へ

視野は広がってきたので、次は解像度を上げていきたい。具体と抽象を行き来しながら理解を深めていく。引き続き焦らずやっていこう。

@macchiitaka
👨‍💻 Software Engineer at Anyflow Inc. 🇯🇵 Tokyo, Japan.