池袋に「梟書茶房」というブックカフェがあるのですが、そこで「装丁もタイトルもカバーで隠された、作品のエッセンスだけ抜き出した簡単な紹介文が添付されているだけの本」が売っているのですよね。開けるまでどんな本なのかわからない、福袋のような商品です。(とはいえ実際の昨今の福袋は事前に中身が判明している、単なる商品のお得な詰め合わせなことが多いですが……)
その紹介文を頼りにおもしろそうだと思った本を2冊買いました。開けて読んでみた結果、どちらもめちゃくちゃ刺さりました。
ちなみに水村美苗『日本語で書くということ』(書籍)と市川春子『虫と歌 市川春子作品集』(漫画)という2冊です。
特に漫画がすごく気に入って、「生命って突き詰めたら多様と同一が同居できるし、慈悲と残酷も同居するんだな、むしろそういう区分けが区分けとして機能せず、曖昧に存在することがなんだかすごく美しく見えるな」と思って、涙が溢れました。泣ける作品に触れたいなと思っていたところだったので、とても嬉しい。
作品は向こうから来てくれないので口コミを見たり、人におすすめを聞いたり、自分で探したりして受け手はある程度自分で取捨選択しないといけないわけですが、それだとやっぱり「自分に合わないであろう作品」は切り捨ててしまいがちになると思うんですよね。
それが私にとって今回の2冊に当てはまるのですが、だからこそ上記のような方法ではたぶん出会わなかったけど、今回出会ってそれがすごく自分にハマるという、おもしろい体験をしたなあと思いました。
(カフェのごはんもおいしかったよ!!)