余生

madisonpsy
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いちばん頑張って勉強をしていたのは大学から大学院の卒業までだった。

博士号をとるまでは、毎日、毎月、毎年できるようになることが増えて、「今年は人生で一番勉強したなあ」と思いながら過ごしていた。

就職したら、勉強しなくなった。これまで勉強してきたことに、すこし積み上げれば大抵のことはこなせてしまう。勉強したことを活かせてみんなが喜んでくれるのはすごくうれしい。でも、ちょっとつまらない。

24時間研究のことを考え続けて、研究以外のことは全て後回しにして生きていくあのスタイルを、ずっとやっていきたいとは思わない。だからこそアカデミアを去って、就職を選んだとも言える。

朝起きて、ちょっと論文やニュースを読んでから仕事をして、いぬを撫で、会議でやいのやいの言い、パートナーとごはんをたべて散歩をして、寝る。

書いてみたら、案外悪くない。退屈で、美しい日々。たまに刺激が欲しくなったら、そのとき探しに行けばいい。