MORIMICHI ZINE'S FAIRに参加したお

まえぷー
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MORIMICHI ZINE'S FAIRに参加したお

5/25日の土曜日に森、道、市場で開催された特別イベント「MORIMICHI ZINE'S FAIR」に参加させていただいた。

やはりオフラインでのイベントは自らの手で渡せるというのと、その対価の重みを直に受け取れるのでゾクゾクさせられる。今回は新たに制作したZINE「性癖の聖域」を加えた2種類体制で臨んだ。人間のことが大好きな僕が書いた人間の性癖や愛、恐怖などそれぞれが持つ感性に着目した作品だ。やはりタイトルもだが、かなりニッチなテーマだと思うから、手にとっていただく機会はかなり少なかった。

音楽や食事を主としたフェスということもあり開演してからすぐには人は訪れず、販売していた建物内から遠くに見える、暗闇の中に光っているのが先に見える景色さながら、外の眩しい景色を眺めて、フェス自体にどのくらいの人が集まって、その中でどのくらいの人が本やZINEに興味があるのだろうかと考えながら待っていた。30分ほどするとゾロゾロと人が集まりはじめて、音楽や食事を楽しんだあと「なんかやってるし見てみる?」という感覚で訪れるものだと思い込んでおったが故に、物好きもいるんだなぁと思いながらこの人たちとは仲良くなれるなと思っていた。

開演から1時間も経たずに1冊ZINEが売れた(一作品目である「カエルになりたい人生」の方)。「これください。」この一言をいただくために本を書いてるんだなと、全身で身に染み込ませながら本を渡しずっしりと重たい対価を受け取った。HUNTER×HUNTERのヒソカがゴンを見た時に感じた「ぼく今、感度ビンビンなんだよね」というセリフが脳裏に過る。

僕も本を購入するときやってしまいがちなのだが、信頼のおける本屋さんに取り扱いのある本だからきっと面白いに違いないと判断してしまう。一つの選択するための材料ではあるのだけど、そこに自分の気持ちが反映されていないのであれば本当に必要としている物なのかわからなくなってしまう。僕は信頼のおける本屋どころか、個人として出店しているので信頼もクソもない状態で販売している。にも関わらず本屋という他の補正を無視した、僕の書いた一冊の本として手にとっていただけることがこの上なく嬉しい。(もちろん信頼のおける本屋さんで最終的に手にとる判断を下すのは自らなので、変わりはないのだが)

以前別のイベントで出店をした時に、手にとっていただいた方から「“本って人が書いた物なんだ“ということに気づかされた」と言っていただき、感動を覚えた。誤字脱字のない装丁まで綺麗に整った本が本屋さんにみっちりと並べられているだけで、作家さんの顔は直接みることがほとんどない。触れ合う機会がないというのもあるが、本が並べられている環境だけしかほぼ目にすることはないので、必然的に人が実際に書いているというのを感じにくい。

僕が販売した本は紛れもなく僕が書いた本であり、それを直接手にとっていただける環境。人から人へ繋がる瞬間。そこに価値があると思うし、売り上げのような数字では示すことのできない成果がある。話がだいぶそれてしまったが、僕がイベントへの出店が好きになった理由の一つがこれだ。

ほどなくして、ちらほらと本を手にとって眺めていただいてる時間が流れた。出店ブースの前にお客さんが来た時から僕の緊張は高まり、読んでいた本を置いて斜めの方向を向きながら“いつでも話しかけてええんやで”という雰囲気を醸し出す。そして好奇心のあまり手にとって眺めているお客さんの行動を観察してみるとあることに気づいた。僕はエッセイを書いており、写真集とは違ってほとんど文章で構成されている。ライト層の方はパラパラとめくるのに対して、興味があって眺めてくれている人は、一つの章をピックアップしじっくりと読み込む。ここで言いたいのが読み込め!ということではなく、文章で構成された本が好きな人に届けたい想いがある僕としては、一種のマーケティングに成功しているなと。本の種類はたくさんあるし、本の楽しみ方なんてそれぞれというのは、僕自身よく本に触れているので理解している。売り上げとかではなく、それよりも届けたい層にしっかり届くように仕向けたいのでむしろ順調である。そんな中、今回新たに製作したZINE「性癖の聖域」と前作の「カエルになりたい人生」の2冊ともを手にとってくださった方が現れたのだ。神か何かかと錯覚してしまったが、タイトルが気に入ってくださったようで、「究極は性とか、エロスにいくつくよね」みたいなニュアンスの言葉をいただき、「あぁ理解している人には届くんだなぁ」と実感したのだ。

それ以降は、ちょくちょく手にして眺めてくださるものの、もう一歩が出ないまま冊数的にはそこまで渡すことができなかった。とはいえ、開演すぐに手にとってくださったり、2冊もお渡しすることができたり、お渡しこそできなかったものの、何人かの方にはSNSでフォローをしていただいた。客観的には、たいしたことのない結果で終わったが、やはり主観的にしか表せない成果があり、前回のイベント同様今回もまた有益的な時間を過ごせた。

主催者さんやお客さんに「ありがとう」と伝えるべく文章にして残す。

@maepu
趣味で文章を書いている者だ