恥を承知でここに記す。僕は早漏である。
早漏とは、射精に至るまでの時間が過度に短いことを言うのだが、日本人の男性の3.5人に一人が症状を患っているとされている。ただし、僕に言わせてみれば彼らは屁でもなく、早漏界隈の中でも僕は群を抜いて至るまでが早い自信がある。一言に早漏と言っても、どこからが早漏で、どこからが一般、どこからが遅漏(反対に至るまでが長いこと)なのかといった客観的な基準はなく、各々の気持ちの問題と言うのが大きい。それでも僕は第三者にも早漏だと思わせるほどの早漏っぷりで、どれほどかと言うと自慰行為で表すと行為に走ってから1分で至るし、異性との行為であれば前戯だけで至る。これだけであれば界隈の中でもまぁ早漏だねという程度なのだが、やはりその中でも一歩頭が出るほどの実力を持ち合わせているのがこの僕であり、過去には前戯に至る前のキスとハグだけで至ったと言う伝説の記録も残しているのだ!僕としても悩み続けているのでこれが夢であるのであれば嬉しいのだが、残念なことに現実で起きてしまった事実なのである。
なぜ、こんな見窄らしいことをわざわざ自信があるフリをしてまで曝け出したかというと、僕の早漏としての実力を世間にたらしめたかったと言うのもあるが、私生活までにも影響してしまい、他の男性諸君にも共有しておきたかったからである。その私生活への影響というのが夢精だ。
夢精とは、睡眠中に本人の意思とは関係なく射精に至ってしまう現象だ。おそらく男性にしか経験はなく、女性からしてみると「そんなことある!?」とトムとジェリーのトムのように目が飛び出てしまうほど驚かれるかもしれないが、残念なことにこれも事実として存在するのだ。まだ射精をしたことがない思春期の男子に多く現れたり、自慰行為などで精液を適度に排出していない方に多く現れる現象のようで、中には経験したことのない男性もいるとは思うが、これが僕の場合それはそれは頻繁に発生するイベントであり、月一の読書会が開催されるくらいのペースでやってくるのだ。執筆時、筆者は24歳であるが、成人を迎えた大の大人が恥ずかしい生き様である。
なぜ、僕はこんなにも高頻度でイベントが発生してしまうのか"至って"真剣に考えてみたのだが、一つの考えとして僕の体質である早漏と、普段から厨二癖のある筆者は妄想が大好きなので、その二つが「混ぜるな危険」と忠告されているにも関わらず、かけ合わさってしまったが故に起きているのではないかと思う。体質である早漏に関しては、病院に行ったり薬を飲んでみたりしてみたものの、一時的な効果はあれどその場しのぎの対策にしかならず、根本的な解決には至らなかった。妄想の方も、もはや僕の趣味と言っても過言ではなく、妄想こそが生き甲斐にもなっているので、これを絶つことは死を選ぶと同然の選択肢なのである。そのためその二つが、まるで運命に敷かれたレールを辿った恋のように、交わることを避けることはできず、またこれが僕の根性でどうにかなるような目覚めている世界で起こっているのであればまだしも、夢という幻想の世界で起きているのだから誰にも止める術が残されていないのだ。夢精イベントが発生した際には、夢の中で何かしらピンク色の出来事が起きているのであろうが、これほど高頻度でイベントが発生している僕は、快楽を求めた頭の中まで真っピンクの猿なのか、性を通して他人を知ろうとする人間的本能なのか、お願いだから後者であれ!と幸薄く望みながら、自分が思っている以上に性への関心が強いのだと改めて感じた。
夢精を経験したことのある方なら理解してもらえると思うが、寝ている最中に発射準備が整っていて、いざGOサインが出される時、瞬間的に目が覚めるのである。ただ、夢精家の僕の場合、頻繁イベントすぎるが故に、最近はもはや夢精したことすら夢の中での出来事なのではないかと夢精に対する耐性がついてしまい、朝目が覚めた時に「夢精しとるやないかい!夢ちゃうんか!」となるまでに進化を遂げた。いくら早漏を改善しようと試みたり、妄想を辞めようと奮闘をしてみても夢精を止めることができない状況となってしまったので、亀仙人にでも修行をつけてもらいエロに対する耐性を鍛えた方がいいのかもしれない。
ちなみに夢精してしまうことで一番厄介なのが、起きた後パンツと肌に吸収されてしまった性処理である。
