宅急便屋は既に全国にネットワークを広げているが、フィジカル・インターネットはもっと拡張した考えである。例えばクロネコヤマトと西濃運輸がお互いのネットワークを共有して、自社には直接関係の無い荷物を車や人や倉庫というリソースを使って運び合う。物理的には難しくなさそうだが、ここに大問題が発生する。
中間倉庫配車である。トラックが満載になる荷の場合は、わざわざ中間倉庫を経由する必要が無いので直送すればいい。満載にならなくても、発地で詰め合わせが出来てしまう物は直送すればいい。中間倉庫を使うというのは無駄な積み下ろしをするので、あくまでも発地👉中間倉庫への輸送は大型車で、中間倉庫👉着地への輸送は小型車になってないと意味が無い(コストが下がらない)。こうした計画を立てる人は2024年問題などを挙げて必要性をうたうのだが、運用の難しさを考えていない。
発地の配車マンは馬鹿ではない。わざわざ無駄な車を出したくない。なるべく満載にしようとする。冷静に考えれば考えるほど、中間倉庫に送り出す意味がわからなくなる。数学的にもこれは大変に難しい問題なのである。しかも情報は目まぐるしく変わり、実際の物を見ないと重量や大きさは分かっていないケースが多い。そんな難しい課題を配車マンの熟練則に任せるとどうなるか?中間倉庫など使わずに直送が一番になる。結局、荷主にとっては2024年問題は他人事なのだ。強力な動機づけにはならない。
現在の市場で中間倉庫問題を対象にした配車問題を解くシステムは存在しておらず、フィジカル・インターネットの本でもこの重要性を見過ごしている。うまく行く筈がないんだけどね。(数学者のシステム屋に聞いたけど、かなり難しいらしい)私もコードを理論上は書けない事は無いんだけど、実際に作業に入ると変数が多すぎてデバッグできないだろう。だから実際には無理だ。結果を検証できない。これは量子アニーリングの世界なのかな。
実は板取問題を利用して極めて簡単にこの問題を解く方法を思いついているのだが、まだ正しいかどうか検証できていない。