ようやく小学館側からも声明が出ましたが、多少踏み込んだ内容になってはいても、あまり印象としては変わらないな…と感じたので、漫画を描いて生かしてもらっている者として所感を述べます。
この件について知った日、マンガワンで連載されている作家さんがまとめてくださった詳細を読み、あまりにも暴力的な内容に大変ショックを受けました。
そして、被害に遭われた方がどれだけ苦しかったか、純粋に応援していた読者の気持ちはどうしたらいいのか、色々なことが脳裏によぎってしばらく動揺が続いてしまいました。
文を読んだだけの自分がここまでダメージを追うのですから、御本人の苦痛はどれほどのものだったのか。また、実際に近しい場で描いている作家さんはもっと辛いでしょうし、読者も何を信じたら良いか分からず、漫画というものを安心して読めなくなってしまうのではないか。色々なことを考えて不安な気持ちになりました。
しかし出版社や編集部から出された声明はあまりにもあっさりしており(仮に情報を出しすぎることで二次被害がないよう配慮したかもしれない、という可能性を差っ引いたとしても)内容はほぼ「ない」と言って差し支えないものでした。また、被害者の方、作家、読者、何なら会社の枠組みで働いているこの件とは無関係な人のことを全く見ておらず、この謝罪は一体誰に向けたものなのかわかりませんでした。
フィクションはフィクションだとわかっているから楽しめるものです。
特に背徳的だったり、バイオレンスだったり、社会通念から外れたことを描く作品はフィクションだから良いのであって、実際に身近で暴力が蔓延していたら楽しむどころではありません。
漫画は様々な事象を描くもので、どんな表現にも傷つく人は出てしまうものだと思っています。
それゆえに、作り手はそれを理解して描かねばならず、ましてや実在の方に危害を加えるなど絶対にあってはならない事です。
今回の対応の諸々の不誠実さは、漫画を楽しむ文化そのものを破壊する行為にも感じました。
仕事として、ただただ真面目に漫画を描いていた作家だけが不利益を被るのもおかしいですし、いち編集部だけの話ではなく、会社が対応しないといけないことも沢山あると思いますが、あまりそういった話になっていないことが不思議です。
調査委員会を立ち上げるとのことなので、きちんと事の経緯が説明されますように。誠実な対応が成されますように。
今回の件で被害を受けた方が少しでも安心できる日が来ることを心より願います。
創作をする者として、たくさんの自戒を胸に抱きながら、この件については引き続き注視していきたいと思います。