あなたへの手紙に嘘が一つだけ「忘れてくれて構わないです」

maichan
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公開:2023/11/16

忘れてくれてもいいなんて思ってたら、手紙なんか書いてない。

今年いっぱいで会社を首になる(正確には契約終了)になることになり、それに伴って仕事の付き合いだった彼とはもう会うことも(会ったことはないけれど)声を聞くこともなくなることになった。

私はいつかこんな日が来ると思っていて、彼に宛てた最後の手紙をずっと前から用意していた。

忘れないでほしい。そう書いては消して、結局最後に私のことは忘れてくれて構わないというようなことを書いた。関係がなくなってまで忘れないでほしいなんて図々しいと思ったし、重荷になるような言葉は残したくなかった。でも、本当は忘れてほしくなかったから、手紙なんて形あるものを残してしまった。

それでも彼は、手紙に書いた通り、私のことはきれいさっぱり忘れてしまうかもしれない。なにせ素直で正直な人だから。そして私は、彼のそんなところが好きだった。

※画像は生成AIによる

@maichan
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