映画の日は映画が安い。映画の日は映画館になるべく行くようにしています。最近は新作映画のチケットがやたら高いので、なんの割引もなしにまともに映画館に観に行くことはほぼなくなりました。
それはさておき、本当なら周囲で大絶賛中の『ゴールデンカムイ』を観に行くところなんでしょうが、あまり周りで盛り上がっておらず、しかも上映会数も1日1回くらいまで減っている『エクスペンダブルズ ニューブラッド』を観てまいりました。「どうせ自分しかこんなん喜んで観んやろうえへへ」という気持ちで。
「なにも考えないで楽しむ映画」とか、よく言うじゃないですか。たとえばシュワちゃんがテロリストを皆殺しにするみたいな映画(すげぇ雑な説明)。ネットで『コマンドー』がやたらウケたのってそういうことだと思うんですよね。アクション映画ってスカッとしますもんね。悪い奴らをボカスカぶん殴って、ブチ殺してね。
で、今回の『エクスペンダブルズ ニューブラッド』って、冒頭からリビアのカダフィ大佐が作った化学工場でいきなりドンパチが始まるんですけど、軍用ヘリで地上の戦車をバカスカ撃って大爆発!もちろん現場は死人の山!みたいなことをやっているのを見て、「あ~、これってもはや武力衝突じゃん? 世界のニュースでも普通に報道される規模なんだけどどうすんの?」と思ってしまった。
こうやって世界中で大きな戦争が起こっているのが当たり前になっているこの現実のなかでは、こういうノーテンキなアクション映画も素直に楽しめないのか……という残念さ。これも雑な説明になりますけど、アクション映画の歴史ってすなわち映画の歴史ですよね。アメリカで初めて作られた劇映画が『大列車強盗』(1915年)なんですから。つまり、アクション映画がこれからどうなっていくのか?っていうのは、これから映画がどうするのか?ってことになるわけですよね。
あー、また超雑な話をしてしまいました。この『エクスペンダブルズ』シリーズって、シルヴェスター・スタローンをトップとするベテランのアクションスターが大集結する映画です。顔ぶれだけで超豪華。現実世界のアベンジャーズ(なんだそりゃ)。「時代おくれのオレたちだけど、まだまだやれるぜ!」っていうテーマなので、もはや現代の感覚に合わせる気は端からまったくないのかもしれません。そうやっていい歳こいてヤンチャしてるおじさんたちがフルパワーでボカスカやっているのを眺めながら、あの伝説の西部劇スター、ジョン・ウェインも晩年は良い感じに落ち着いた作品でキャリアを締めくくっていたことを思い出し、「アクション映画スターの一生」みたいなものを感じずにはいられないわけです。
とはいえ、この『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は血湧き肉躍る爽快感に満ちた、アクション映画としてはレベルの高い映画です。装甲車同士でカーチェイスしながら相手側の車に飛び移って爆破して、また自分の車に戻るとか、もはや曲芸みたいなアクションはバカバカしすぎて最高でした。いろいろあって失業してしまったジェイソン・ステイサムがインフルエンサーのボディガードになるも、雇い主のあまりの態度の悪さにブチ切れてボコボコにしてしまうシーンとか、いいシーンもたくさんありました。やっぱり愛敬のある人たちなんですよ、みなさん。
ただ、このご時世なのでやはりどうしても殺害シーンの残酷さが悪目立ちして見えてしまいます。映像の技術力がこの50年でものすごく進歩したのはわかるけども、人が殴られてそのまま奈落に落ちて、下のほうで頭がすいか割りみたいにグチャッと潰れるのをワンカットでやるとか、そういうことばっかりしててもしょうがないじゃないですか。それこそ昔のシュワちゃんやスタローンのアクション映画はそういうシーンがなくても十分面白かったし、そうじゃないところにもっと頭を使って工夫して、時間をかけたほうが良いと思うんですけどどうでしょうか? スタローンは言うまでもなく『ロッキー』などのヒューマンドラマもしっかりやれる人で、そこが他のアクションスターと違うところなんです。もっと人間味のあるアクション映画が観たいなと思うんです。だってこんな時代なんですもの。