性的な話だけど性的な話ではありません。
自分が男性であることをいつ自覚したか。陰茎が生えていることでか、ノー。学校の男女分けでか、ノー。女の子に恋をしたからか、ノー。射精を体験したからか、ノー。
物心ついた時からずっと男の子として生活はしていたが、自分は成長が遅く体も小さかったし、男の子集団の中ではもっとも力が弱い部類でスポーツで勝てたことは無かったし、女の子と関わることもほぼ無かったので女の子に対して男の子の権勢を振るう機会もなかった。つまり私は男であって男になれたことはずっと無かったのだ。
ずっと男になれなかった私は男の真似事をしてきた。ある時、女の子と付き合うことにして、セックスの真似事をすることになった。女の子をベッドに押し倒して…そう、押し倒した。この時、私は初めて自分が男として女を支配して真の意味で男になった…その瞬間はとても空しかった。
暴力を振るい相手を打ち負かすことが(社会的な)男の本質だとわかってしまったら、こんなに空しいものは無かった。それから10年、20年、空しいままに過ごしてきたけれど、近年のSOGI、LGBTQ+の認知度が高くなるにつれてやっとこの空しさというかモヤモヤが晴れる思いがしている。
男性の世界は常に暴力の脅威に晒されており、安心を得ることができないのだと気づき、そこから解放されて心の平穏を手に入れることができるんだということを多くの男性に知ってほしい。