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2025/08/04
放射線治療、ラスト4回は右胸全体ではなく腫瘍があったところを集中して照射するとのこと。そのため、改めて新しく線を引かれる。男性の放射線技師2人がかり。線は初めは赤で、次が青、今回は白になった。
抗がん剤治療を乗り越え生き残っていた髪の毛もだいぶ生え変わりで抜けてしまったのだけど、まだ残っていたものをチョンチョンと適当に切る。きれいな坊主頭になって、気持ちがすっきりする。
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2025/08/05
最近は外に出るだけで、最早サウナに入るときのような心構えがいる。地球温暖化の問題が叫ばれるようになって久しい。国単位で、企業単位でCO2削減に取り組んでいるのだろうが、だいぶのっぴきならないところまで来ているのではないか。ほんとうに遅すぎるくらいだけれど、個人で何かできることはないのかという気持ちが芽生え始めている。少なくともわたしが幼い頃は、夏は日中、外で遊べたのだ。今や、何の対策なく外に出れば命を奪われかねない。子供が夏を楽しめるような環境でなくしてしまったのは、大人の責任だと思う。ひとまず、食肉生産における温室効果ガスを減らす目的での菜食主義というものがあると知ったので、相対的に肉食を控えることは徐々に実践してみようかなと思う。
無印良品の発酵糠床で、気が向いたときに糠漬けを作っていたのだけど、最近もう少し常食したいなと思い始めてきたので、扱いやすいように琺瑯のタッパーへ糠床を移し替えてみた。平たいタッパーなので、野菜室でも場所をとらなくて良い。
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2025/08/06
広島原爆の日。
歌舞伎を始めとした伝統芸能を見るにあたって、自分に源平の知識が全くないことを痛感してしまったので、まずはNHKオンデマンドで『人形歴史スペクタル 平家物語』を見ている。原作・吉川英治、人形美術・川本喜八郎。テンポよく見られてありがたいのだが、全56話中、24話の時点で清盛が死んでしまった。これまで清盛の野望と野心によってのみ物語が進んでいたので、折り返しより前に子孫たちと同じく置いていかれる心地になってしまった。滅びるとわかっていても、まだまだ先は長い。
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2025/08/07
放射線治療最終日。放射線科の先生が、診察室に入ると立って「お疲れさまでした!」と言ってくれた。控えめに万歳のジェスチャーもしていて可笑しかった。最後に「これから先、再発の可能性を抱えながら生きていくということに対して、先生はどうお声をかけていますか」と聞いてみる。「健康に気をつけて、人生を楽しんでください」と、シンプルな、でも納得のメッセージ。結局のところ、再発はするかもしれないししないかもしれない(わたしはステージIIだったので再発率は15%ほど)。5年後なのか10年後なのか、もし再発したとしてもその間を再発を過度に怖がって過ごすよりは、人生を楽しんだ方が良いに決まっている。恐怖心を完全に抑えこむことは難しいだろうけれども、そう、心がけていきたいと思う。
放射線治療の会計はまとめてで、月を跨いで2ヶ月分約10万円。これで、乳がん治療の大きな支払いは終わり。放射線治療に関しては、副作用の辛さよりも、この暑さの中、20日平日毎日通うことの方がやはり大変だったなと思う。
病院の帰りがけに買ったいちじぐがかなり熟れていたので、ダメになる前にいちじくの赤ワイン煮にしてしまう。煮ている間、すごく良い香りで寝る前にも思い出してしまった。香水で欲しいくらい。
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2025/08/08
朝、着替えるときに何気なく体を見ると、右胸が黒ずんでおり、そうでない皮膚との境目が直線的にはっきりしていて、なるほどここに放射線が当たっていたのかとわかる。いつから変化したのか全然気づかなかった。念入りにクリームを塗る。もう線が消えないように気をつけて塗らなくて良いから楽だ。
夜ご飯は夏の麻婆茄子。オクラ入りで、最後に茗荷の千切りをトッピング。さっぱり美味しかったけれど、今日はデザートに用意したいちじくの赤ワイン煮にギリシャヨーグルトを添えたものが、尋常じゃなく美味しかった。こんなにも美味しいものを家で心構えなく食べてしまって、一人動揺してしまった。
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2025/08/09
長崎原爆の日。
乳腺クリニックへ。年内は生理を止めるリュープリンの注射を受けるのとホルモン治療の薬を出してもらうのに毎月病院に行かなくてはいけなくて結構大変だ。以降は、3ヶ月ごとや6ヶ月後に変わっていくらしい。前回の血液検査の結果が出ていて、問題なくてほっとする。ホルモン治療が始まるとコレステロール値などが悪化するらしいけど、わたしは全部基準値に収まっているらしく、先生もちょっと笑っていた。わかっちゃいたけど、健康的な生活をしてるので。それでもある日突然がんにはなるってこと。
先生に「あの、今のわたしの状況って、寛解ってやつですか」と聞いてみると、「寛解じゃなくて、根治って言いますね」とのこと。根治かぁ。やっと、じわじわと、9ヶ月に及ぶがん治療がひと段落ついたことの実感が湧いてきた。
治療お疲れさまの気持ちで、ご褒美が欲しくなり、ずっと行ってみたかったお店、市川籠店まで足を伸ばしてみる。国内外のセンスの良いざるやかごを取り扱うお店。実店舗もとても素敵だった。何か買って帰りたいなぁとじっくり見ていたら、別府で見たことのある太くしっかりした竹で編んだざるが目に入る。昔旅行で別府に行ったときに、その格好良さにビビビッときて、買って帰りたかったのだが、かなり高価なものなので、結局踏ん切りがつかず。でも値段を見てみると、あれ、それよりもお手頃のような。店員さんに聞いてみると、別府のものではなく、別府の職人に教わった方が作っているものだかららしい。「別府のものに引けを取らないですよ」と言ってもらえて、なるほど。それでも悩んでいると、使用している写真をいくつか見せてもらえた。ざるといえば麺類だけれど、おにぎりやパンが乗せられている写真に「お!」となる。パン、乗せるのいいかも、と使っているところがイメージできたので購入に踏ん切りがついた。買ったのは三本寄せ亀甲編みというもの。帰ってからも手にとってはにこにこしてしまう。良い買い物をした。
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2025/08/10
雨。少し暑さがやわらぐ。今日は、Wおすすめのタイ料理屋さんへ。オープンの少し前に行ってみると一番乗りだったが、あっという間に満席になってしまい、すごい人気。オーソドックスにガパオライスを頼んだが、パンチが効いていて、ちょっとたじろいてしまうくらいの旨味。ココナッツのプリンとお餅の中間のようなデザートもおいしかった。また来たい。
そのあとは家に移動して、まったり。Wもワシントン・ポーシリーズを読んだとのことで、盛り上がって話してしまう。本の話ができる友達がいてくれるというのも、読書のモチベーションになっているなと思う。
おもてなしご飯は、サーモンとじゃがいものレモンオーブン焼き、ブロッコリーとアンチョビのパスタ、キャベツとりんごのコールスローサラダ。どれも、初めて作ったレシピだったけれど、美味しくできてよかった。いちじくの赤ワイン煮には、今日はマスカルポーネを添えて。Wも一口食べて、衝撃を受けていた。