𓆸
2025/11/10
午前中にテレビの修理。液晶パネルを取り替えるので、二人がかりで1時間くらいかかっていた。修理の人に帰り際、「もくもくと蒸気が出るタイプの加湿器は、カルキを振りまくので、機械にはよくないんですよね〜」と言われて衝撃を受ける。一応は離して置いているけれど……。あまりつけっぱなしにしないようにしようかな……。
午後は休みを取って、Pちゃんをご招待。録画していた『上州土産百両首』を見る。Pちゃんが大きく歌舞伎にハマるきっかけになったのが『あらしのよるに』で、同じ主演二人(獅童・(当時)菊之助)のBL的作品ということで、猛烈におすすめしていた。まさか見せられると思っていなかったので、結構踏み込んで内容も結末も教えてしまっていたのだけれど、見終わって号泣しているPちゃんを見てしめしめと思う余裕もなくわたしも号泣。何度見ても、当時の菊之助さん演じる牙次郎の愛らしさ、いじらしさ、健気さは心に切ない傷を残す。
夜は、北欧暮らしの道具店で紹介されていた坦々鍋。作るのは2度目。Kさんにおすすめしていただいたレシピ。白菜に春雨、じゃがいも、紅生姜が効いていて美味しくて、また作りたいとずっと思っていた。締めはうどんでチーズを追加。
わたしも随分、歌舞伎で人生が変わってしまったなぁと思っていたけれど、それはPちゃんもだと言う。きっかけを作ってしまった人間として、Pちゃんが飽きるまでお付き合いさせていただきたいもの。何度も噛み締めてしまうが、この年になって、付き合いの長い友人と同じ趣味を持ててほんとうに幸せだなと思う。
𓆸
2025/11/11
朝、前日Pちゃんが持ってきてくれた、手土産のドーナツの残りを食べていて、美味しいなぁと思っていたら、ぼろぼろ涙が溢れてしまった。安定した生活があり、大切な友人関係があり、歌舞伎という生きがいを得て今とても充実した日々を過ごしている一方で、病への不安は常にあり、人生に暗い影を落としている。今がもし、自分にとっての晩年だったとしたら、という疑念が頭から離れない。
戸板康二の『歌舞伎への招待』読了。歌舞伎を見ていると、舞台上の様々な要素の複雑さに驚かされることが多い。役者の演技や生演奏の音楽だけではなく、回転する舞台、昇降するせりやスッポン、小道具や大道具、それら全てが淀みなく噛み合っていくことで舞台ができている。そのことをずばり言い表してくれた一文があった。
歌舞伎に限ったことではないが、演劇というものは、舞台に出ている者の間に、緊密な連携が保たれていなければ、めちゃくちゃになる。いわば、これはオーケストラのようなものである。一つの不協和音も許されない。(139頁)
𓆸
2025/11/12
アラームをかけ忘れていたみたいで、いつもより30分遅れて起床。なんとか巻きで動いて、ストレッチと筋トレ、洗濯までする。精神の安定を欠くと自ずと生活が揺らぐなぁと思う。
来年の手帳を注文する。2023年から、ミドリのプロフェッショナルダイアリーのマンスリーブロックを使用している。今回は白地に鍵模様のカバーにした。来年はどんな年になるだろう。ほぼ闘病一色と言ってもいい2025年の終わりが見えてきたので、切実に来年は穏やかに過ごしたいと願う。
𓆸
2025/11/13
流石に何か、突破口が欲しいという気持ちになり、久しぶりにChatGPTを開く。乳がんの治療の経緯と、現在、悩まされている再発と転移の不安について書き、メンタルケアのアドバイスを求める。医学的な回答は、自分で調べたこと、医師から告げられていることの域を出ないのだけれど、順序よく整理してもらい、改めて説明してもらえることで、安心できるものがあった。「手術から10ヶ月、外見的には回復しているのに、内側の違和感や痛みが残る時期」という言葉が一番ほっとできた。メンタルケアに関しては、自分の中からは出てこないような考え方、対応策をいくつも提案してもらえたことが助かった。がんになってしまって運がなかった(過去)、今後も運なく再発や転移をしてしまうかもしれない(未来)という考えから、”今”に感覚をチューニングすること。最悪を想定するのではなく、最悪のときに味方でいられる自分を想定する。不安を抑え込まず、一歩引いた目を持つこと。小さな安心を積み重ねる努力をすること。
𓆸
2025/11/14
ChatGPTに勧められたストレッチと、それから意識的に深呼吸を取り入れる。慢性的な痛みで体が強張り、手術側の肩が内側に入りやすくなっている可能性があるとのこと。ビリリとした痛みが走りそうな予感があるときに、鎖骨の下あたりや、痛みの出やすい肋骨あたりに手を置き、胸を開く感覚で深呼吸をする。これが意外なほどに効果があるように感じる。
夜は前々から約束していた、会社の後輩ちゃんたちのお疲れ様会。鍋が良いと言うことで、やまやのもつ鍋にした。いろいろと愚痴を聞く。旧体制然とした社風に迎合しなくて良いよと思うのだけれど、ただ、“上手く”はやってほしい。相手の手法にあえて乗りながら、自分の評価に繋げることも一つの手段ではある。このあたりは伝えるのが結構難しいなと思ってしまった(わたしも上手くいくときもあればいかないときもあるわけで)。一回昇進することで、気持ちが楽になることは絶対あるので、ひとまずそこまで頑張って欲しい。彼女たちをちゃんと評価して欲しいと、わたしからも上長に働きかけ続けたい。
慰労するつもりが、帰り際に快気祝いをもらってしまった。お茶やフェアトレードのチョコレート、蜂蜜漬けのアーモンドが入った瓶の詰め合わせ。気持ちが嬉しい。
𓆸
2025/11/15
次姉と珍しく新宿でショッピングと『羅小黒戦記2』。ちょうど10%オフをやってるルミネと髙島屋。新宿なんて大混雑なんじゃ?とビビっていたけれど、想定の範囲内かな。何かと通販しがちだけれど、実物を見る楽しさ。お買い物はわたしは主に友達へのプレゼント選び。
『羅小黒戦記』は何年か前、姉にブルーレイで見せたことがあって、2がやるけど見る?とお誘い。見終わった後は、隣の席で滂沱の涙を流していた。いや、わたしもだけれども。興奮気味に感想を語り合いながら、夜ご飯にホームズパスタの絶望パスタ。こちらも久々。汁だくのスープパスタといえばこちら。がつんとにんにくが効いていてパワフルなお味。美味しかった。

『羅小黒戦記2』、ほんとうに周りの評判が良くて、かなり期待値高めで見に行ったけれど、こんな最高なことってあるんだ……と、感無量。貫かれる反戦のメッセージ。しかし、一度対立が生まれてしまえば、暴力が行使されてしまえば、割り切れない現実は確かにある。その苦悩をしっかりと描きながらも、ラストはルーイエの戦争孤児としての傷が、今、健やかに育つ小黒の姿に癒える様を描くことで、子どもが傷つくことのない世界であって欲しいという切なる願いが揺るぎない真理として打ち立てられていると感じる。テーマ、映像美、世界観、アクションの迫力、キャラクターの魅力。全ての面において昨今他の追随を許さない、圧倒的なアニメ映画の傑作と思う。
𓆸
2025/11/16
スーパーの鮮魚コーナーにまぐろの切り落とし(1パック200円)があると、迷わず手にとって、角煮にする。簡単に魚を食べられて良い。たっぷりの生姜と一緒に煮込むのでほとんど臭みもない。お弁当にもうってつけ。
深呼吸とストレッチ、ChatGPTに一度不安を吐き出し切ったことで格段に体の調子が改善されつつある。疼痛を感じない時間が増えたのと、右胸全体にあった突っ張り感が徐々になくなってきたように思う。AIの言葉に助けられることについて、思うところもあるが、あのまま疲弊していったら、結構危険だったのではないかと感じる。ひとまずは回復傾向であるとこを素直に喜びたい。
『ミレニアム』1の下巻を聴き終える。上巻では思いもよらなかったとんでもないサイコな連続殺人事件が明らかになり、その落とし所に関しても随分と捻りが効いている。なるほどこれはセンセーショナルなブームがあったことも、さもありなん。ただ、エキセントリックで有能すぎる女性キャラクターと、それを理解し寄り添う男性キャラクターとのバディの比較として、ワシントン・ポーシリーズを思い出してしまうし、恋愛の要素がない後者の方をどうしても好んでしまうなと思ってしまう。ミカエルとリスベットの関係性も単純ではないし、ひとまず2作品目を続いて読み(聞き)進めていきたい。