2025年9月1日〜2025年9月7日

マルカワウソ
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公開:2025/9/14

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2025/09/01

出社前、朝から、週末に作ったいちじくジャムをヨーグルトにかけて食べる。スパイスに白ワインの風味。ラグジュアリーなお味。

病気で完全リモートしている間に後輩の女の子二人が結婚していたので、遅ればせながらお祝いの品を。アコメヤでちょっとしたものの詰め合わせ。あと、合わせて厄介な業務を引き受けてくれた人にもささやかなプレゼントを。こちらはネイルズインクのネイル。喜んでもらえているかはわからないが、こちらとしては気が楽になるものがある。

昼休みに、お金を下ろすので外に出る。ATMのある商業施設付近ににフリーの食事スペースがあるのを見つけていたので、今日は試しにお弁当を持って行って食べてみる。まだまだ暑いがときどき涼しい風が吹くので、なんとか。居心地のいい場所だった。新訳で『カラマーゾフの兄弟』を読み始める。

腕の違和感、徐々に治まってきたものの、今度は胸がぴりぴりと痛むので、やはり心配ではあるなぁ。

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2025/09/02

『忠臣蔵と日本の仇討』(池波正太郎他)読み始める。池波正太郎による赤穂事件の解説、面白い。浅野内匠頭と吉良上野介との対立が徳川綱吉の治世の上に成り立っているという視点、また赤穂事件を上手く裁けなかったことで、結果として綱吉の威勢が削がれたということ。綱吉がもし二人を喧嘩両成敗にしていれば、赤穂事件は起きなかったのだなと。

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2025/09/03

久しぶりに出社すると会社の食事スペースが窓際に沿って設置された長机になって、すごくいい。わたしが入社したときは、休憩室は男女に分かれてて、女子の方は大きな机でなんとなくみんなで会話しなきゃいけない旧体制然とした感じが苦痛だったなと思い出してしまう。

新しい社長との面談。人事からはわたしの病気の子細は聞いていないらしく、隠すことでもないので乳がんと明かすと、ご夫人も乳がんだったとのこと。ほんとうに多い病気だなと思う。もうお元気のようで良かった。わたしも勇気づけられる。仕事のこと、これからのキャリアプランのこと、人間関係などざっくばらんに話した後、最後に、何か言いたいことある?と聞かれたので、「後輩たちの給料を早く上げて欲しい、じゃないと辞めちゃいますよ」と若干の脅しをしておく。新卒採用なしかつ見事にロスジェネ世代のいない会社なんだから、30代社員を大事にしないと痛い目に遭いますからね!

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2025/09/04

やたらと眠い!と思ったら台風が近づいてるのか。

だいたいマニキュアは週2で塗り替えているのだけれど、最近塗り直すときにしっかり手を洗って爪の油分を落としておくと持ちがいいと気づいた。そりゃそうか。でもちょっとしたことでここまでとは。

抗がん剤治療を終えて2ヶ月程経つが、まだ副作用で変色した爪が先に残っている。今日も胸がしくしく痛む。過酷な治療だったからこそ、ぱっと晴れやかに元気になる、ということはないのだよなと、思う。

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2025/09/05

台風接近。前日、リモート推奨の連絡が来ていたけれど、今日は終日他社のセミナーに参加予定で叶わず。残念。

セミナーの休憩中にざっと歌舞伎の情報を検索していると、12月京都南座での襲名興行の詳細が発表になっており、その内容に大興奮。休憩が終わってからも顔のにやけが堪えきれず、こういうときにも助かるマスクである。

歌舞伎では年末に顔見世と呼ばれる興行があり、これは江戸時代、劇場ごとに年次契約だった役者を披露したという習わしによるものである。南座の顔見世は今年は12月で、菊五郎さんの鷺娘に、超豪華メンバーでの弁天娘女男白浪(菊五郎・勘九郎・七之助・愛之助・幸四郎)といったラインナップ。RとPちゃんにそれぞれ連絡。2回は行きたい。ああ、12月が待ち遠しい!

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2025/09/06

治療がひと段落ついたらやろうと思っていたことに、猫の保険加入がある。ずっと、入らなきゃなぁと思いながらも、わたしの収入が安定せずに先延ばしにして今まできてしまった。ここまで大きな病気せずに生きてくれて、ほんとうにありがとう。人間の方は特約で生命保険料が免除になったので、その分を猫に当てる算段。もう高齢に入ってきているので、通院保証はつけられないのだけれど、手術となったときに半額給付金が出るものに加入。そうならないことを祈るけど、動物の手術は高額なので万が一に備えておきたい。まぁでも、猫の方は引き続き病気一つせず暮らしていけますように。なんやら体に良いと聞く、アンチノールというサプリもあげはじめようかなぁ。

夜はWに教えてもらったタイ料理屋さんに、今回はKさんと。やっぱりめちゃくちゃ美味しい!流石、孤独のグルメに出てきただけあるなぁ。わたしもKさんも比較的アジアンな料理を食べ慣れている方だと思うのだけど、ここは初めて体験する味わいががありますね、と二人で興奮する。海老と春雨をフライパンで蒸し焼きにした料理が、シンプルなのに味わい深かった。あと、夜に行ったのでお酒を飲んだのだけど、シンハーなどタイのビール他に、タイウィスキーのカクテルや、タイのものらしい瓶入りの発砲ワインなど、ご当地感あるアルコールラインナップがとても良かった。Kさんにつられていつもよりも飲んでしまった。

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2025/09/07

9月の歌舞伎観劇始めはAプロ昼の部から。

今月は松竹130周年を記念して三大狂言の通し上演2作品目、『菅原伝授手習鑑』。菅原道真(菅丞相)の失脚とその要因となる松王丸・梅王丸・桜丸の三兄弟の物語。様々な親と子の別れ、愛別離苦が描かれる。

6月の菊五郎さんの襲名演目でもあった『寺子屋』は菅原伝授手習鑑の終盤の話で、どうして源蔵があそこまで菅丞相の息子を守ろうとしたのか、松王丸が我が子を犠牲にするに至ったのか、やはり通し狂言で見てこそ受け止められるものがあるように思う。

今回も片岡仁左衛門丈が出演、ABプロ方式で当代ではこれまで仁左衛門丈しか演じていなかった菅丞相の芸がいよいよ次の世代ににバトンタッチされる(今回のダブルキャストは幸四郎丈だが、貸切が多く観劇断念)。『筆法伝授』『道明寺』仁左衛門さんの菅丞相、わたしはそれは神々しい、人智を超えたような存在なのかしらと想像していたけれど、いや、違うのだな。どこまでも、人だからこそと噛み締める場面が幾度もあった。清廉潔白故の厳しさも、降りかかる悲運に耐える姿の気高さも、親子の別れの痛ましさも。どんなに悪意に晒され、追い詰められようとも、穢されない魂があることを最後の花道の歩みが示す。ああ、この人のために、この人に贖うために桜丸は命を落とし、松王丸は我が子を犠牲にし、源蔵は身代わりに子を殺める罪を負うことを選んだのだと、初めて納得できるものがあった。

ちなみに前回松王丸だった菊五郎さんは、今回はAプロでは菅丞相を太宰府へと送る役人の判官代輝国、Bプロは桜丸。今日の輝国、短い出番ながら名前の通り輝かんばかりに美しく、その正しさ故の爽やかさで菅丞相が去った後の舞台を鮮やかに締めくくっていた。ニンから考えれば、菊五郎さんも菅丞相を演じて欲しいなと思う。

@marukawauso
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