2025年8月11日〜2025年8月17日

マルカワウソ
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公開:2025/8/24

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2025/08/11

山の日。朝から中掃除の続き。窓とサッシをざっと拭いたり、ベッドの下まで掃除機をかけたり。だいぶすっきり、きれいになったかな。

午後はこの連休中、やっと重い腰を上げてやろうと決心がついた苔玉のコウモリラン(ビカクシダ)植え替え。最近は新しい貯水葉が出てこず、ここ数年もう根詰まりしているのだろうなぁとは思っていたのだけれど、素人が簡単に植え替えなんてできるものなのかなぁともじもじしたまま月日が経ってしまった……。水草(乾燥しているもの)とテグスを買えばなんとかなりそうだったので、いざ。苔玉を解体し分割した5つの株を、4つと1つに分けて苔玉を作り直す。数えてみると7、8年以上はいっしょに暮らしていて、付き合いが長い存在だとと思うと、改めてこれからは大事にしてやりたいものだ。植え替えがうまくいっていますように。せめて、どちらかだけでも生き残りますように。

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2025/08/12

なぜか前日寝付きが悪く、寝不足。

上司に再来週から徐々に出社勤務への復帰をさせてもらいたい旨、申し入れ。できれば出社なんてしたくない。全くしたくないのが本音。だけど、誰に促されるわけでもなくちゃんと復帰のスケジューリングするわたし、えらい(自画自賛でぎりぎり保たれるやる気)。

『シャーロック・ホームズとサセックスの海魔』読了。最終作は大大大冒険、大決戦、面白かった〜。今回はかなり、クトゥルー世界観が強かった。いくつか読んだ短編が思い出される場面も。最後ということで一抹の淋しさはあるものの、邪神の蔓延る世界でも、シャーロックとワトソンの二人の確かな絆は永遠に。

そういえば、最近、ミシェル・ウェルベックがラヴクラフトについて書いた本が文庫化したようだ。買っておこうかな。

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2025/08/13

昼ごはんを食べながら、坂東三津五郎『歌舞伎の楽しみ』を読み始める。まえがきの「歌舞伎は約四百年、特定のパトロンを持つことなく、毎月興行を打ち続けて、お客さまをいかに満足させ、いかに喜んでいただくか、ということを大命題に、今日まで闘ってまいりました。」の一文でもう涙ぐんでいる。今まで読んできた歌舞伎の入門書系は、全て批評家によるものだったので、演じる側の熱意というか、もっと言えば矜恃を感じさせる言葉に圧倒される。

夜は、クーラーなしでも過ごせる陽気。風が心地よい。夏野菜でラタトゥイユを作る。

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2025/08/14

昨日の夜もクーラーなしで過ごせたが、今日は朝からクーラーなしで平気な陽気。ありがたい。

明日からPちゃんが泊まりにくるので、どうしてもいちじくの赤ワイン煮を食べて欲しくて、お昼にスーパーまで。売ってなかったら諦めようと思ってたけれど、大きくて立派なのが売っていてよかった。夜、くつくつ煮る。ちょうどPちゃんから連絡があったので、「作ってるよ〜」と写真を送ると喜んでもらえた。幸せな時間だなと思う。

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2025/08/15

終戦の日。

今日は1ヶ月振りに歌舞伎座へ。Pちゃんと。歌舞伎座に足を踏み入れるとなんだか生き返るような心地がする。確実に、歌舞伎座はわたしにとってのパワースポット。Pちゃんも「わたしも」と同意。

今月は二部のみ。玉三郎丈の後援会に入ったPちゃんにチケットを頼んでいたのだけど、『火の鳥』の話題性で、かなり早い段階で全日満席となっていた。1階のとちり席で見られてありがたい。

『日本振袖始』は近松門左衛門作の義太夫狂言。出雲国に山奥に潜む八岐大蛇に生贄として捧げられた稲田姫を救うためにやってきた素盞嗚尊が、見事八岐大蛇を退治し、天叢雲剣を手に入れ出雲国の租神となる神話。八岐大蛇は醜女であったが故に嫁ぎ先から返された岩長姫の化身として描かれる。醜女とあるけれど、初めは美しい赤姫の姿。後半、蛇体となっては同じ隈取姿の役者が8人出てきて、フォーメーションを組みながら素盞嗚尊と所作立て(殺陣)をするところは見応えがあった。岩長姫を演じる七之助丈は、ニンにあって、人外がよく似合う。今回、玉三郎丈が指南したとのことだが、隈取姿が瓜二つのようだった。素盞嗚尊演じる染五郎丈は、発光するような主役のオーラ。今は若く線が細いけれど、これから年を重ねれば白鸚丈や吉右衛門丈なスケール感が出てきそう。

『火の鳥』は上演が決まって、誰もが手塚治虫?と思っただろうけども、書き下ろし作品とのこと。永遠の命を求める病床の王に火の鳥捕縛を命じられた王子二人が、旅に出るストーリー。演出にオペラの舞台を手がける方(原純さん)が関わっており、新作というだけでなく歌舞伎という枠を飛び越えている作品だった。王子二人の前に、ダンサーを従えて現れる火の鳥の場面はコンテンポラリーダンスを見ているよう。しかし、躍動的な動きを見せるダンサーの中央で、玉様は両手を羽ばたかせ、ゆったりと歩くだけで圧倒的な存在感。超然的な存在として、人々を諫め、導くことに説得力があった。火の鳥が人々を導く姿は、歌舞伎界での玉様の存在そのもの。歌舞伎界を託すように若い染五郎丈や團子丈を導き、去っていく。最後はクレーンを使って宙を舞う演出もあり、凄かった。歌舞伎としてどうなのか、という評価軸は意味をなさず、完全に玉様の美意識と理想の世界。人は永遠の命は持ち得ないし、いつかは玉様も舞台を去らなければいけない日が来るのだけれど、それでも坂東玉三郎という歌舞伎役者は永遠なのだと思わせるような作品だった。

歌舞伎合宿と称していろいろ録画を見るために、我が家移動。Pちゃんとは高校生の時も我が家でお泊まり会なんてしたことなかったので、初!が歌舞伎きっかけだなんてね。夜ご飯の副菜系は事前に準備しておいたので、手羽中揚げ(レシピは手羽先だけれど、食べやすい手羽中で作るのがおすすめ)だけ作る。おもてなしレシピの中では絶対外さない一品だけあって、Pちゃんも大感動してもりもり食べていた。ほんと悪魔的魅力のある一品です。デザートはいちじくの赤ワイン煮にギリシャヨーグルトとディルを添えて。やっぱり、驚きの美味しさでPちゃんも一瞬で食べ切っていた。よかったよかった。Pちゃんが持ってきてくれたアイスワインも美味。凍結した葡萄を収穫してそのまま作るワインらしく、初めて飲んだ。貴腐ワインのような甘さ。

ちびちび飲みつつ、『マハーバーラタ戦記』の序幕と二幕目を途中まで見て今日は就寝。

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2025/08/16

久しぶりにしっかり飲んだからか、8時までぐっすり。冷やしておいたラタトゥイユ、ベーコンエッグ、フランスパンなどで朝ごはん。この前買ったざるにパンを乗せられて満足。

パジャマのまま『マハーバーラタ戦記』の続きと『伽羅先代萩』、『摂州合邦辻』を見る。菊五郎さんづくし。『マハーバーラタ戦記』何度見ても、泣いてしまう。Pちゃんに鶴妖朶王女を演じる芝のぶ丈の素晴らしい演技を見てもらえてよかった。一般家庭出身で、幹部ではないひとなので古典ではほとんど脇役ばかりなのだけれど、ほんとうに勿体ない……近年は菊五郎さんの積極的な登用があるけれど、門閥が違うので……。早く幹部になれますように(芝翫〜〜!怒りの呼び捨て)。

夕方前にPちゃん帰宅。誕生日プレゼントにme ISSEYY MIYAKEの花柄のかわいいバッグをお揃いでいただいてしまった。いくつになってもお揃いって嬉しいもの。

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2025/08/17

洗濯と買い出し。ブックオフが創業祭とかで本が20%オフとのことだったので、ついでに足を伸ばす。岩波新書『日本語の古典』山口仲美、岩波新書『なつかしい時間』長田弘、新潮文庫『人情裏長屋』山本周五郎。山本周五郎の『人情裏長屋』には歌舞伎化されたゆうれい貸家が入っていた。詩人の長田弘さんの文章が好きなので見かけると買ってしまう。『日本語の古典』はぱらぱらっと見て、衝動買い。この前読んだ橋本治の『これで古典がよくわかる』も日本語の成立に沿った解説だったのが面白かったので、よりその観点を深めてくれそうな内容。

来週からの出社に備えてウィッグを洗いたかったのだけれど、人毛MIXのものはノンシリコンのシャンプーは使ってはいけないらしい。家にあるのはサンプルでもらっているのも含めて全部ノンシリコン。最近はノンシリコンじゃないものの方が少なさそう。ドラッグストアでお試しパウチで売ってるものでシリコン入りのを探すが、成分表を具に見るのが大変だったので、そういえばと思いついて写真を撮ってChatGPTにシリコンが入っているのかいないのかを聞いてみると即座に答えてくれた。便利。まぁ、嘘をつかれることもあるようなので、ほんとに大事になりそうなことはちゃんと自分で検索してエビデンス取ること(戒め)。

夜、福永武彦『風のかたみ』読み始める。学生時代と20代に熱心に読んでいた作家だったけれど、未読の一冊になんと歌舞伎化されたものがあって、それが『風のかたみ』だった。今昔物語に題材を得た王朝ロマン。若手の花形歌舞伎だったのだろうけれど、十二代目團十郎丈、玉三郎丈、仁左衛門丈出演で、1971年新橋演舞場にて上演記録がある。きっと、福永武彦もその舞台を見たのだろう。好きなものがこうして交錯することに、嬉しさがある。

@marukawauso
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