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2025/09/08
日曜、歌舞伎の帰り道に石破首相の総裁辞任の報が飛び込み、暗澹たる気持ちで眠り、今朝もそのままの気持ちで目覚める。政治家としての最低限のまともさを手放しで支持する気持ちには最後までなれなかったが、しかし、恐ろしい勢いで低きに流れ続ける現状を止めるために、割り切るべきだったのだろうか。声をあげて称賛していた人も100パーセントの肯定をしているわけではないとはわかっていても。
また、腕の違和感が強くなっている。胸もときどきちくちくと刺されるような痛み。
夜ご飯になすと肉だんごの甘辛煮を作る。これ、当たりレシピだった。できたてをあたたかく食べたけれど、冷やしても美味しそう。
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2025/09/09
会社帰りに定期通院。担当医に胸の痛みや腕の痺れについて話す。リンパ浮腫に関してはもうちょっと観念済みの気持ちだったけれど、「腕の痺れは違うかなぁ」と言われてしまう。ほんとに〜?インターネットで調べる限りは前兆として挙がっている症状だけれど、診察している側の症例としては実感がないということだろうか。胸の痛みに関しては、手術で神経を切っているから、後遺症として出てしまうものらしい。断続的なら心配なく、ずっと痛むようだったら骨の転移が疑われるとのこと。途切れ途切れで痛む場所もあっちこっちするので、神経の痛みだろうという結論になる。だんだん治まる人もいれば、何年も痛む人もいるらしい。
週末花屋に行ったら、9月9日は重陽の節句(菊の節句)とのことで、菊を飾っては?というポップがあり、つられて今日のために大輪の白い和菊を購入していた。健康を祈願するものでもあるらしい。今の私にはいろいろお誂え向き。今年初めて知ったけれど、これからは毎年飾ることにしよう。
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2025/09/10
歌舞伎座で、菅原伝授手習鑑にちなんで売っていた梅・松・桜の三食最中を食べる。石川県のふがく堂という和菓子屋さんのもの。サイト見たら、勧進帳最中作っているところか。これも勧進帳がかかっているときに売っているのを見たことがある。今日は松王丸の松。抹茶餡が美味しい。歌舞伎座は百貨店とはまた違うセレクトで全国銘菓が集まってくるのが楽しいところ。
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2025/09/11
9.11の同時多発テロから24年。今、こうしてアメリカにファシズムが吹き荒れることになるなんて、一体誰が想像しただろう。
出社日。午後から雲行きが怪しくなり、ゲリラ豪雨。夕方、運良く止んだ隙に帰れた。ポストを覗くと御園座のチケットが後援会より届いていた。なんと、京鹿子娘二人道成寺がかかる昼の部は1列目センター!興奮して、一緒に行く予定のRにすぐに連絡。5月、Rは撒き手拭いをゲットできなかったから、今回はゲットできるといいなぁ。わたしのところに来たら譲るつもりだけど、できれば2人で!
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2025/09/12
若干引きつれる感じはあるが、今日は胸の痛みはほとんどなく、腕の違和感も減っている。
翌日が10月の歌舞伎座の松竹会員先行チケット販売日ということで、スケジュール帳と空席状況(後援会と上の会員ランクは既に発売済み)を付け合わせつつにらめっこしていたが、こりゃABプロ制覇どころか、通しで見るのも厳しそうな感じ。12月京都南座の顔見世には2回は行きたいし、新幹線代に加えてチケット代も高額なので、今年の三大狂言はせっかくだし全部通しで見るぞと気合を入れてたけれど10月は無理しなくていいか、と言う気持ちになってきた。過去の上演記録見ても『義経千本桜』は見取りでも結構かかるし。『義経千本桜』は通しでかけ、メインの三役(平知盛・いがみの権太・佐藤忠信実は源九郎狐)を一人が演じ切る手法があり(三役完演という)、菊五郎さんも菊之助時代に挑戦しているので、また見られる機会もあるだろう。
恐らくは演じ納めになるだろう仁左衛門丈がいがみの権太として出演する二部だけチケットをとることにする。先行でビジュアルが発表されているが、御年81歳、なんと言う格好良さ……。

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2025/09/13
今日はBプロ・夜の部。友達の結婚式で知り合ったMちゃんと。歌舞伎に興味があるそうで、誘ってもらって中村屋の興行に2度ほど一緒に行ったことがあるので、今回はわたしから。
『賀の祝』菅丞相の養女・刈谷姫と帝の弟・斎世親王の逢引を手引きしたことで、菅丞相の謀反の疑いの要因を作ってしまった舎人・桜丸。後悔の念で切腹せねばと思い詰めるものの、父・白太夫の70歳の祝いまではと堪えていたが……。松王丸と梅王丸の嵐のような兄弟喧嘩か済んだ後、死相を帯びた菊五郎さんの桜丸が出てきた瞬間に空気が一変する。いやはや今年4度目の菊五郎さんの切腹ではあるが、今回の桜丸は唯一、切腹に救いを求めている。贖いきれない罪を背負って生きてはいけない。だからこそ白太夫は最後のところで切腹を止められないという説得力があった。覚悟の上の死であっても、最後の最後、介錯を頼む白太夫を見上げる表情が哀れで胸が詰まる。死ぬ瞬間に、唯一父親にだけ無念さを見せたように感じる。儚く散ることを良しとする桜の美しさ、切なさの余韻が次の幕へと引き継がれる。
『寺子屋』5月のときよりも、寺入り(松王丸の妻・千代が小太郎を寺子屋へ連れていく場面)が長い演出で、元より大人が演じて笑いを誘う涎くりという寺子屋の教え子が悪さをする場面が増えている。寺入り、雀右衛門丈の千代の姿に涙ぐんでしまった。自分の子を身代わりに差し出さなければならないという極限の精神状況だろうに、目に入ったいたずらの罰を受けている涎くり与太郎を許してやって欲しいと戸浪に請い、鼻をかんでやる、深い慈愛。息子が犠牲になったことだけにではなく、先に切腹した「桜丸がかわいそうだ」と泣き崩れる松王丸と一緒に泣ける人だと思わされる。松王丸の幸四郎丈はニンといった感じ。20歳にして大役の源蔵に挑む染五郎くんはかなり大変そうで、重圧を感じさせる緊張感があったが、故に極限の選択を迫られ追い詰められる源蔵にリアリティがあったと思う。
Bプロ夜の部、一個一個がどうとかではなく、せっかくの通し狂言、一つの大きな物語としてもっと胸に迫るものがあるのではないかと期待してたのだけど、ちょっとそこまで来ず。三兄弟は流石に部ごとには揃えて欲しかったように思う。夜の部はAプロも見る予定なので、そちらも見ないことにはというところもあるが。
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2025/09/14
手持ちのレシピ本を見返していたら、油揚げの巾着煮が美味しそうだなと思ったので作り置きとして作ってみる。レシピは鶏ひき肉と長ネギをこねたタネとと卵を一つ入れていて、もう少し栄養を足したかったのでひじきとにんじんをタネに追加。こういうの初めて作ったけど案外手間がかからないものだな。いろいろ具材を変えて試してみるのも良さそう。
夜はぶりかま。青魚なので、猫が食べたがっちゃうかなと思ったけれど、意外に寄ってこず。鯵とか鯖を焼くときは必ず寄ってきてしまうのでおやつを別にあげてごまかしてたんだけど、ぶりは大丈夫なんだ。脂の乗った美味しいぶりかまだったのでゆっくり食べられてよかった。デザートは梨にぶどう。まだまだ暑いけれど、食卓は秋めいてきている。