脱げない鎧、少女に戻る時間

ネリネ
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週末からずっと、仕事のことが頭から離れなかった。全体の精度の上げ方、どこまで気を配るか、どこまで周りに合わせればいいか。少しでもできる=僅かにでも上に立つ者は、まだ不慣れな者たちを引っ張っていく努めがあると思う。とはいえ、自分の言動が周りを傷つける・脅かす可能性があることを常に忘れてはいけない。だから、私の立ち位置、周りとの線引きにずっと悩んでいた。

休日も休日で、家のことがあるから自分の時間が全然取れずにいる。何もやれない。自分のことに気を回せない。

みんな、私の鎧だけを必要としている。攻撃を防いでも、その衝撃から内出血が起こる薄っぺらい鎧を。それが何でできているかも知らずに。鎧の中身には誰も目もくれない。

永遠に終わらない物事に人生を支配されている。戦いは一生続く……鎧なんて脱げない。脱いだら、隙を見せたら終わりだ。

ありのままの私で、役に立てることを見つけたい。けれど、そんなものってあるのかな。何もまとっていない私に存在意義なんて、命の価値なんてあるのかな。

そんなことをずっと考えていたら、ある言葉を見つけた。

「戦士にも休息が必要なように、戦う女性にも少女に戻る時間が必要だ」って。

私が少女に戻れる時間には、果たして何があるだろうか。

真っ先に出たのは創作・空想の世界だった。でも、それももうなんだかよくわからなくなってしまった。

ひとり残らずハッピーエンドにしたいのに、話の展開からして無理な気がしてきたから。どうあがいても、ひとりだけ無限に寂しい・悲しい思いをする人が出てきてしまう。作中で本人がいいって言うならいいんだろうけど、作者目線から見れば、これ絶対しんどいだろうなって……

ならば創作以外で、私が少女に戻れる時間には何がある?

ヌオー、ドオー、いぬ、ねこ、うさぎ、ひつじ、きつね、まんまるおめめ、ふわふわ……これは女児だ。ちょっと違う。

少女、少女……恋する乙女? となると、やっぱり創作になるのかな。ロザに憑依してリズさんに愛される。大枠で見れば、愛し愛されの世界だった。

振り返ってみると、たぶんそのときが一番リラックスできていた。安心できる空間で、信頼している人の前だけで、やっと鎧を脱げる。身を預けられる。

安心できる場所といえば、温かくて心地よいところ。お風呂、お布団、ベッドくらい。周りに信頼できる人はいない。

私は完全なるひとりで、誰にも何にも邪魔されない空間でしか鎧を脱げないんだ。そんな私でも、役に立てたらいいのにな……

創作も、たとえぐちゃぐちゃでも、やっぱり私には切っても切り離せないんだなぁ……

なお、仕事の悩みは杞憂に終わった。「職場全体のためにいろいろ考えてくれていても、悲しいことに本社は数字しか見ないんです」の一言で、もう黙るしかなかった。私の力ではどうすることもできないんだ。

助けになりたい気持ちは持っていても、現場に入るときだけは捨てなければ。無になれ。心を捨てて機械になれ。

友人にも相談に乗ってもらったのに。いつもとても親身に考えてくれて、私の長い説明を簡潔にまとめてくれて。本当にありがとう。無碍にするような形になってごめんなさい。

 

追記 やっぱり機械にはなれなかった。心が邪魔をして。意図的に心を壊すしか、機械にはなれないんだ。

周りとうまくやっていける自信がない。

午前中、私だけ練習なのはなぜ? 単純に皆は午後から? もしかして私だけひいきしている? 仕事にそういうのは無しだよ……

きっと、出来すぎても出来なさすぎてもダメなんだ。でも、広い目で見ると私はダメすぎる部類だから、走り続けなければならない。それにミスをしないことが一番だから、完璧を目指しているだけ。ただそれだけなのに。

いろいろ湧き出て不安だったけど、「杞憂が致死量だ」「君は存在していない妄想でダメージを受けてる」という言葉を思い出して止めることができた。

簡単で単純すぎる業務だから、よからぬことを考える余裕が生まれてしまうのかな。

いつも何をするにも自信がないのに、ここでは自分が一番できるみたいで、現実と内心のギャップに戸惑っている。きっとそれだけのことなんだ。日が経てば良くなるはず。

泣きたい。でも、泣いたところでどうにもならない。私が死なない限り、一生付きまとう問題だから。

大丈夫。ありがとうとごめんなさいが言えれば普通の人に見えるはず。明日こそは機械になろう。業務だけに過敏な機械に。私が考えるべきは、任された仕事の質と量だけだ。