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ご無沙汰していた友人と偶然ばったりでくわした
「最近は何をしているんだい?」
『まあ、いろいろだよ』
「そうか、いろいろか、
ところで今夜きみのうちに遊びにいってもいいかい?」
『ああ、おいでよ』
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友人はパイナップルに住んでいた
「これまたずいぶんとエキセントリックな家だね」
『まあね、今の時期は旬らしくて、安く手に入ったのさ』
「ふーん」
『まあ、中へおいでよ』
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まるで高校生の頃に戻ったかのような、力強く甘酸っぱく、みずみずしい香りが体内をスーッと抜ける
部屋の中は円柱状にきれいに切り抜かれており、思ったより広くて快適そうだった
天井にはご丁寧にシーリングファンが取り付けられている
最近の工事会社はパイナップルまで相手しなきゃならないのだろう
「ところで、パイナップルには骨がないようだけど、耐久は大丈夫なのかい?」
『まあ、幾分は、サボテンなんかと同じだと思えば問題ないだろう』
壁をサイコロ状に切り取りながら友人は答えた 今晩の夕食が決定したようだ
私はサボテンの家に住んでいる友人を知らないので、これまたふーんと納得するしかなかった。
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「じゃ、またね」
『ああ、また』
私は着ていた服に染み込んだパイナップル液を気にしながら、住んでいるをアパートを目指す
なんの変哲もない、普通の、ここには普通の人生の普通の人が住んでいますよと言わんばかりの普通のアパート
お土産としてもらったパイナップルを抱えながら一人思う
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明日のお昼は酢豚でもつくろうかな、
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[酢豚 パイナップル 代用]