朝の鴨川はカラスがいっぱい飛んでて、何時代だよってくらい荒れてる。そのすぐそばには男のズボンに手をつっこんで「ないよ〜」と言って泣く女もいるし、「この時間は流石にキャバクラもやってないんだな」と道行く女の人ひとりひとりにに声をかけるおじさんもいるし、改札の前でひっくり返って寝てる男の子もいるし、何度注意されても朝帰りを繰り返すような人間が行く地獄はこんな光景なんだろうなと思う。日が昇ると夜のうちには見なくて済んだ様々なことがあぶり出されてくすんだ色と焦げた臭いを放って「現実!」って感じで私の前に立ちはだかるから、毎度毎度、5時頃に目覚めてハッ!とか言ってとぼとぼ歩く時に「私はいま朝帰りをしている……」とかいうナレーションが聞こえる。 昨日の夕方に、もう体調も復活したからお友達と無縁仏を供養しに行こうぜ!となって、めっちゃいい匂いのロウソクを地蔵の前にぶっ刺してきたんだけど、ロウソクを供える前に供養のためのお経を結構長い時間聞かなきゃいけなくて、その間なんかキモくてデカい虫がワンワン飛んで、友達が真っ先に刺されててめっちゃ可哀想だったけどめっちゃ面白かった。その刺された友達が「イタイイタイ!」とか言うから周りの人も完全に虫ヤバイみたいな雰囲気になってて、お坊さんのとてもよいお経を聞きながらもなんかキモくてデカい虫を踏み殺そうとする人もいて、これから無縁仏にロウソク供える人でも虫を殺すんだなと思って、朝でも昼でも夜でもこの世は地獄だな〜としみじみした。 ロウソク供えた後に車で山を下って街の方に出たんだけど、その山が明らかに山!って感じの山で、「平家は負けてない!!」って叫んで鉈を振り回すババアとか出てきそうな雰囲気だったからめっちゃ興奮した。「車は速いから楽しいな〜」とかのんきなこと言ってたらすごい突然に急勾配の坂が出てきて、ジェットコースターでもこんな斜めにならないだろって角度で坂道を下った時は、「やっぱり平家ババアは我々を殺しにかかってる!」と思って死を覚悟した。 平家ババア山はいちいちダンジョンぽくて、木材を運ぶ車vs素手で木材を支えるおじさんの闘いも見られた。おじさんはどう見てもカブトムシっぽい体勢で木材を支えてて、「ムシキング!!」って叫んだけどお友達に「ちがうよ」と諭されて少し寂しい気持ちになった。 電車の中でこの日記を書いて、もう駅に着いたからやめるけど、地上に出たら地元はめっちゃくちゃに雨が降ってて、やっぱ地獄はこうでないとな〜とか思う。帰る。
派手歌人 京都在住の獅子座の女 あだ名はラブリー たわむれチャーミング
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