職場の人から、ポルトガルのお菓子「コンフェイト」をもらった。
日本の金平糖はこのコンフェイトが伝わって出来た物で、織田信長も食べたことで知られているが、金平糖とは見た目も食感も味わいもまるで違う。頂いたコンフェイトは、まさに信長が食べた物なのだそうだ。
日本の金平糖は砂糖の透明な膜が層になっていて硬く分厚いが、コンフェイトは雛あられに似た色と形をして棘が少なく、前歯で噛むとサクサクほろほろとほどけるように崩れ、そのままとろけてなくなってしまう。
日本のものと比べると色がビビッドなので、あまり食欲がそそられなかったのだが、これが物凄くおいしい。日本の金平糖のキンとした食感の鋭利さも好きだが、正直、日本の金平糖ももっとポルトガルスタイルに忠実になっても良いのではないか?というほどおいしい。ついつい手が伸びるが、あまりにおいしいので家族にも食べさせようと思い、我慢して途中で封をした。
封をしたところで、自分がまるで家で寝たきりの母親に食べさせるためのパンやビスケットをこっそりカバンに隠す少年のように感じられて、とても胸が苦しくなった。銀河鉄道の夜を思い出す。ジョバンニがコンフェイトを持って帰るシーンがあったような気がする。母さん、お星さまに似たお菓子をもらったんだよ。母さんは元気がないからお前がお食べ。じゃあ母さん、ミルクに溶かしてあげましょうねえあああああああーーーーつっっっっっっっら
銀河鉄道の夜はいろんな登場人物についつい感情移入をして、ありもしないシーンを自分の頭の中で繰り広げて勝手につらくなってしまうことがよくある。わたしがよく感情移入をするのは、いじめっ子であるザネリの母親だ。ザネリの母親は銀河鉄道の夜の本編には出てこないので、まったくの捏造なのだが、何故だかいつもザネリに対しては母親のような気持ちで接してしまう。アンタ、またジョバンニくんにいけずしたんやて?隣の子から聞いたえ。ザネリはひどい奴なので、どうしても言って聞かせてやりたくなるのかもしれない。だって、だって海へ出て行方不明の父親を健気に待っているジョバンニに対して、ラッコの毛皮が来るよと職業をバカにして囃し立てるなんて、とてもじゃないが許される行為ではない。お母さんジョバンニくんとこ電話しなあかんさかい、あんた、ジョバンニくんに何言うたか教えなさい。ラッコの毛皮が来るよ?あんた、あんたそんなん……ええ〜あんたそんなん……お母さんあんたをそんな風に育てた覚えない!!!ほんまにない!!!!!