おとといの夕方、ソファから立ち上がって歩こうとした瞬間に天井が回転したかと思ってうわ〜と驚いているうちにいつの間にか転んでいた。あまりにも受け身を取るのが上手すぎたので転んだのかどうか気づくのに時間がかかった。しばらく呆然としている間に、めまいを起こしてコケてしまったのだと分かった。なんだろう、と思いながら、その日はいつも飲んでいるお酒を控えて眠った。
朝。布団から起き上がると同時にめまいを起こし、吐き気も催した。気持ち悪いながらも、朝一番の尿意に勝てず、トイレまで這うようにして移動し、便座の蓋を開ける動作をするために下を向いた、瞬間、またぐらっと視界が回って、トイレの床にばたりと倒れ込んでしまった。これはおかしい、絶対おかしい。そう思いながら、なんとか起き上がって用を足し、部屋に戻ってまた横になった。目が覚めてトイレに行って戻ってくるだけで20分経っていた。スマホの画面を見ると目がチカチカして気持ちが悪いので、画面の光を極限まで落としてから「めまい 回転」とインターネットで検索をかけてみた。どうやら三半規管の中にある、体のバランス感覚を司る耳石というものが剥がれたり欠けたり移動しすぎたりすると起こるめまい、「良性発作性頭位めまい症」が近いようだと思った。もともと三半規管はめちゃくちゃ弱く、気圧の高低差で頭痛がしたり耳が痛くなったりする方で、そういう時は五苓散がよく効くのでああ、なるほどな、と思った。
この日は祖父の35回法要の日だったのだが、一向に良くならないので欠席することにした。横になりながら、ぼうっとスマホを眺めたり、眠ったりする。こういう日に限ってやたらと連絡が入るので返信を打つが、ものすごく時間がかかる。もどかしいし、何より気持ちが悪い。枕をうんと高くしながら横になって見たNHKのサイトで、耳石の位置を戻す体操についてまとめてあるページがあったので、オエオエと吐き気に襲われながらそれをやり、水をたくさん飲む。首の付け根が異様に詰まっている感覚もあったので湯船につかって血行も良くした。その間ずうっと悪路を車で走っている時のような気持ちの悪さが続いていて、歯磨きをするだけでも一苦労だった。
しかし体操が功を奏したのか、はたまた湯船につかったのが良かったのか、今朝起きたらかなり回復していた。昨日と違いずいぶん晴れているのでそれも関係しているかもしれない。しかし時々、やはりあの気持ち悪いめまいがあるので朝イチで耳鼻科へ行った。念のため聴力も検査してもらったが特に異常はなく、下った診断は予想どおり「良性発作性頭位めまい症」だった。眼振も今の時点では確認できないとのことだったので、かなり軽症であると言われた。あの昨日の気持ち悪さを思い出す。あれで軽症か……重症の人はさぞ……とゾッとした。
寝不足とハードワーク、しかもデスクワークをしている女性に多い病気らしく、寝不足以外は当てはまるのでハイ……と力なく相槌を打つほかなかった。しかしいま思えばこの一ヶ月ほど、平均の睡眠時間は9時間から10時間で、寝すぎというかむしろ失神に近い睡眠状態だったので体は相当こたえていたのだと思う。忙しさを理由に入浴もシャワーで済ませていたので血流が悪くなっていたのも影響しているかもしれない。
めまい止めと、ビタミンB12を一週間ぶん処方してもらった。それで良くなるようならもう病院には来なくていいとのことだった。ビタミンB12は何に効くのかと思ったが、眼精疲労の解消や筋肉のコリをほぐす効果があるのだという。なるほどな。この一ヶ月ほど顎関節症が悪化していて、口腔外科に通い始めたところだったのでそれについても合点がいった。NHKのサイトで見たという体操もまあ効く感じがするのであればしてもかまわない、くらいのニュアンスのことを言われた。はーい。ともあれ、たまにクラッとするものの、明日は普通に仕事ができるだろうという程度には回復したのでよかった。本当にこわかった。
再発防止のために意識してやること
・目を酷使しない(パソコン、スマホを見すぎない/度数をパソコン用に落としたメガネやコンタクトを用意する/眼精疲労に効く目薬を使う/ホットアイマスクを使う)
・目を使いすぎたと思ったらストレッチやマッサージをする
・なるべく入浴の際は湯船につかる
・ビタミンB12を意識して摂る(貝やレバーといったわたしの苦手な食材に多く含まれているらしい……)
・水をしっかり飲む
・ラジオ体操などでもいいのできちんと運動する
・お酒はほどほどにする
・顎関節症の治療をいち早くする