キュウ、というコンビがいる。なぜいきなりキュウを見始めたのかというと、なんか新しいものを摂取していきたい!と思って色々調べていたらなんか引っかかった、というぼんやりとした理由だ。あと今ちょうどU-NEXTに入っており、そこで最新の単独まで配信しているのが大きい。(アマプラでも2023年の単独以外は見られる)今のところ単独を5本見た。見たら、これまでにテレビで見たことがあったことを思い出した。具体的に何を見たのかは忘れたけれども、独特のテンポは一度見ると忘れられない。
なお、公式Youtubeでも単独からいくつか漫才を取り上げて配信している。こういう感じの雰囲気が好きだったらなんとなくタイトルが気になった単独公演を見てみると楽しいかもしれない。テンポはゆっくり目なのだが、この内容で早かったらついていけないな、とも思う。
キュウの漫才には、現実とは異なる論理が通用している世界の話がある。みんなが思っている赤のことを緑と呼び、みんなが思っている緑のことを赤と呼ぶ人がいる世界の話。人間とコーヒーゼリーの区別がつかない人がいる世界の話。「れ」を「り」と発音する人がいる世界の話。そして、それらに対して現実世界的なツッコミが入ることは少ない。その世界の中の話だから。なのに、たまに「現実」からのコメントが入るので、これは何なんだろうか、という浮遊感と緊張感が生まれる。
それに加えて、ここでそのロジックが適用されるの!?みたいなロジカルさがあり、我々には知らされていないルールで会話している人間を見ているような気がする。
また、キュウの単独公演は、公演全体を通して仕掛けがある。なんとなく違和感がある箇所は最後に回収されるので安心してほしい。系統としてはSFっぽいロジックと言葉遊びだ。個人的には、割とくだらないというか、しょうもないことを全力でこの時間かけてやっている、というところに好感が持てる。あとフライヤーデザインも見終わってからもう一度見るとちゃんとしてる!となる。最終的に仕掛けすごかったな、になってしまうところがあるが、道中も楽しいので合いそうな人は見てみてほしい。
今のところ好みなのは第三回「猫の噛む林檎は熟能く拭く」(舞台上で完結するある種の「呪い」にすら見える)第八回「初期の告辞」(わかりやすさとギミックの塩梅がいい)かな……