こういうことをたまにやっている。
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これは頂点を拾うと「つばさはえいえんに」になり、かつ縦横斜めで読めるようになっている。
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これは縦に読み、内側の箱の中だけでも読めるし外側を含んでも読めるようになっている。
一応どちらもオリジナルの形式だが多分似たようなことをやっている人は複数いると思う。てかまあ一個目は図形詩の一種なんじゃないかな。あと回文やったり折句やったり小説内複数行字数揃えとかページめくり制御もしているけどそれらは一応メジャーなので今回は省く。そういうわけで今回はこういうのをどうやって作るのかについて書く。これは技術なので共有しておいたほうがいい。なおわたしは音韻に関してはめっぽう弱いのでこの記事にそれらの内容は含まれない。あくまで意味と形式である。音韻に強い人はそういう記事を書こう。
形式を決める
なんらかの形式に従って書かれたテキストはなんとなくかっこよく見える。字数揃えとか。あと二通りあるいはそれ以上の意味として取れるテキストはなんとなくかっこよく見える。まずは形式を決めよう。形式は意味と連関しているとよりかっこよく見える。さっきからずっとかっこよく見えると言っているのは別にこれはこの世の真理でもなんでもないただの主観だからである。自分が主観的にいいなと思うものを選ぼう。量産できるとよいこともあるしワンオフのほうがいいこともある。
ギミックを決める
ギミックっていうか「こうしたほうがよりかっこいいな」と思うことを決める。たとえば最初に上げた9文字をバラして配置するテキストの場合は、単語の切れ目がその配置した9文字とできるだけかぶらないようにしている。最初と最後は仕方がないので真ん中の文字に関してはそこから単語ができるだけ始まらないようにする、とかそういう縛りを設けると縛りの分だけいい単語が出てくる場合もある。この縛りは形式より下なので当然破ってもよい。
ちなみに2個目の箱に入っているやつは箱の中の単語を切るところがあるようにしている。「はじめから」を「きえはじめ」と「からまりつつ」に分割するような。この形式を使うには箱の中の最初の5文字が別の単語の一部として分割できるものを配置するのが大きなポイントだなと自分的には思っている。
書く
書けばできる。そう言ってしまえば簡単なのだがここで重要なのはできるだけあきらめないこととこの形式にそぐわないなと思ったらあっさり捨てることである。矛盾してない?
できるだけあきらめないこと、というのは手数を増やすということである。たとえば二文字目が「み」で4文字の言葉があれば完成するのだが……みたいな事態はよく発生する。そういうときはあらゆる可能性を考慮しつつ文脈に一番合うものを選ぶ。辞書を引くのもよいだろう。辞書を引いてなかったらあきらめよう。あるいは条件を変えよう。
量産したいならあっさり捨てることも大事で、うまくいかない文字の並びというものはある。9文字の文章をバラすやつのほうが自由度が高いので何でもできる(わけではない)のだが、箱に入っているやつはバッファが4文字しかないのでできないものはできない。やっていくと撤退の判断がつくようになるので場数を踏むのが大事。どの形式でも。
また、ここで必要になってくるのが言い換えの技術である。逆接の意味を表したいときに2文字が必要なら「でも」「だが」とかを使って3文字が必要なら「しかし」を入れればいい。そういう話だ。まあ接続語を入れすぎると全体的に散漫になることがあるので気をつけなければならないのだが……そういう話ではない。
意味より形式を優先することにより生じる意味
というのがある。定型詩でも発生することだとは思うんだけど。散文を普通に書いていたらなかなか出てこない単語の並びを、こういうテキストは許容してくれる。ので楽しい、というところがある。ほら、ある種のテキストってちょっと無理しているところがかわいいところがあるじゃないですか。みんなも言葉で遊んでいるんだか言葉に遊ばれているんだかわからなくなりながらいろいろやってみよう。