「水の激落ち君」でお風呂のタイルの溝を磨きつつ並行して色々な作業をした日でありました。本当に、地味だな私は。一人が苦にならない。でも、たまに人に会うと、たまに会って楽しいから別れ際がさみしくなる。
アトリエブラヴォの夏休みの工作教室をお手伝いしたことがあった。
障がいを持つ子たちと健常の子たちが一緒に工作をするというもの(しかし障がい者とか健常者ってほんと人間界の言葉だな~。なんか納得いかない)。
一人とてもなついてきた男の子がいた。ほそっこい体に大きな眼鏡。才能のある子で、作業の時間は誰より早く課題に没頭し、独自の作品を生み出す。みんなもじもじして周りを見ながらやるのに、自分の世界を信頼している様子がたのもしい。
「まっちゃんは僕の担当者でしょ!」「なんでやねん!違うよ!」とか言い合いながら私も楽しく過ごしたが、楽しければ楽しいほどあーこれは最終日はぐずらずちゃんと帰るかなあと心配していた。
そして3日目の夕方。とうとう全工程が終わり解散の時間。机やいすを原状復帰するスタッフ。迎えにくる保護者たち。あの子が駆け寄って来た。なんか手伝うとか言い出すのかな?と思っていたら彼は言った。
「まっちゃん、僕、さみしくなっちゃうからさっと帰るね。」
がーん。なんという素直。そして大人。いや子ども?なんだか拍子抜けして私の方がさみしくなってしまった。お父さんに連れられて本当に風のように去って行った彼。身体の割に大きな水筒をぼこぼこ揺らして。
今も誰かとの別れ際でさみしくなっちゃうと彼のことを思い出す。私はとてもあなたみたいに気持ちを表現することはできないよ。そしてどうか今も元気で、その才能がくじけることのないように、と祈る。