弱さを敵視しないこと

松下とも子
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ようこさんのはじめた大名の自由珈琲。お花でいっぱい。生花が活けてある店は間違いないという経験則があります。お花は売ってもいます。その様子、パリの街角みたいでかわいい。

女性ホルモンのリズムでどうしてもネガティブになりがちな時期がある。私の場合、人と接すると自分がここにいてはいけないような気持ちになり落ち込む。

何か会話がかみ合っていないような気がする。

それに焦り、自分の言葉が自分とどんどん離れていくような気がする。

そのこと自体に落ち込み、自分は人に必要にされていない気がする。

全部「気がする」であり、妄想であることが書いていてよく分かる。今は「そんな時期なんだな」と客観視できるようになったので少し楽だが、それでもやっぱり気持ちはトゲトゲチクチクする。

調子が悪い時って自分の本質というか弱いところが出てくるんじゃないかな。要するに人に愛されたい、かまわれたい、褒められたいってところ。普段は他人は他人!関係ないぜ!って思えるのに。めんどくさいね。

弱っている時はいろんなことに気がつく時期でもある。今日は所用でブックスキューブリックに寄り、ついでに新刊を眺めた。苦手な作家のエッセイが出ていた。一章ほど目に通したがやはり好きになれなかった。

次に目に止まった河合隼雄と小川洋子の対談を開く。引き込まれた。「だいたい人を助けにいく人はね、強い人が多いんです。使命感に燃えてね。それは助けられるほうからしたらたまったものじゃないんです。」膝を打った。さっきの作家はとにかくにじみ出る強さが私にはしんどいのだ。作家が悪いというより、私のための読み物ではないというだけ。

身体は正直に合わないものをはじく。逆に言えばそれぐらい作者のカラーが出ているからいいことだと思う。自分の色ってどこにあるんだろう。それは弱くなった時こそ分かる気がする。この本はしばらくお守りに持ち歩こう。

@matsutomo
福岡で写真と文筆をやってます。 ★ほとりスタジオ www.hotori-std.com ★第54回九州芸術祭文学賞 佳作受賞kyubunkyo.jp/archives/1158 ©2024松下とも子