光をこわさないで

松下とも子
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なんという気持ちの良い春の日。とろけそうだ。花見日和だ。せっかくだから散歩の日に制定する。

散髪したまぐおさん(夫)と赤坂で待ち合わせ、移転したアストロープ(ギャラリー)へ。チョコラBBと缶ビール1本を「移転お疲れ様の差し入れ」に持っていく。

新生アストロープは薬院駅にほど近い古いビルの2階。とても居心地が良かった。それもそのはず、広々としたベランダまである。撮影もできるねえ、なんてわかこさんと話す。

小林健二の立体や絵画が展示されていた。写真作品もあり、なんとレンズから自作したカメラで撮影したらしい。もう目からうろこ。制作ってどうしてもお金の問題にぶち当たるのだが、小林さんはなんでもイチから自作してしまうのだ。発想が違う。作品に種から育てたような魂が宿っているのも納得。

昨日齋藤陽道さんについて書いたばかりだが、タイムリーなことにわかこさんが購入した私家写真集「神話」も見せてもらう。これがまた磨きがかかった光の集積でほんとうにすごかった。もうどんどん先を走って世界とたわむれている。こんな世界が私に見える日は来るだろうか。すっかり他人と自分を比較することも少なくなった昨今だが、こういうのを見るともうなーんもする意味無い、出る幕無しって思う。いやいや。でも、こんな気持ちってきっと大切なんだろうとも思います。

帰りはざぜんまんじゅうで和尚たちと音楽トークして楽しかった。幸せな一日。桜が咲いて、晴れていて、みんな優しくて。ずっとこんな世界がいい。ガザへの侵攻を一刻も早く止めてほしい。光に向かって伸びていく生命の力が好きで、そういうものを捉まえたり表現して生きていきたい。戦争や虐殺はその真逆にあるからいっちょんすかん。

@matsutomo
福岡で写真と文筆をやってます。 ★ほとりスタジオ www.hotori-std.com ★第54回九州芸術祭文学賞 佳作受賞kyubunkyo.jp/archives/1158 ©2024松下とも子