聞こえるか がんばれ

松下とも子
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起きてしばらくぽわぽわ幸せになる夢を今日は二本立てで見た。

【前半】

子どものとき祖母とやっていた小さな畑にいる。夢の中のそこはロシアのダーチャのようで、チャボがいて、東欧風にかわいらしくペイントされた小屋が見える。小学生の頃好きだった友達が何人かいる。一緒に草を抜いたり苗を植えたりしていたら畝の向こうに死んだ幼なじみが立っていた。夕方の光を逆光で受けて、身体が半分透けて骨が見えている。何回も大きな声で名前を呼ぶとやっと気づいて、「私、今、2歳の女の子に転生したんだ」と言った。

【後半】

「最近とてもつらいことがあってうまくいっていない人のための施設」に友達と私はいる。友達は、最近離婚したばかり。そこはなんということもない部屋で、集まっている人たちも特に暗いオーラはない。「なんか歌おうよ、ブルーハーツの『人にやさしく』がいい」と友達が言い出す。「えーヤダー、めっちゃベタやん。」と言いつつ二人で小学生の唱歌のように歌いはじめた。夢の中で一言一句かみしめて歌った「人にやさしく」は名曲で感動する(起きてから聞いてみたけど夢の中ほどではなかった)。歌い終わると友達は細い目をもっと細めてにこにこしていて、ああ元気なんだと安心した。

目が覚めると6時28分(目覚ましが鳴る2分前)。そのまま起きてお弁当に生姜焼き、卵焼きを作り家を出た。身体の奥がじんわりぽかぽかしていた。とてもいい天気で世界に祝福されているような気持になった。

虹は夢と似ている。

@matsutomo
福岡で写真と文筆をやってます。 ★ほとりスタジオ www.hotori-std.com ★第54回九州芸術祭文学賞 佳作受賞kyubunkyo.jp/archives/1158 ©2024松下とも子