文学フリマ広島7(苦めのレポ)|20250209

皐月まう
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公開:2025/2/11

8時に起きても間に合う、前乗り最高! 乾燥のせいか髪のコンディションもいいし、そういえばお腹もあまり痛くない。血祭り最悪状態で迎えなくてよかったよ文フリ。

東広島から広島間のバイパスが通じたようで、高速に乗らなくても下道でサクサク会場に着いた。まだ10時、会場の前には早くも人だかりが。えっこれ、中に入らないってことは出店者じゃないってことよね? こんなに早くから何を待ち構えていらっしゃる????(この疑問は文フリ終了後に解決する)

文フリ広島は2度目、イベントの出店は3度目なので準備も慣れたものだ。ちゃちゃっと置くものを置いて、見本誌シールにコメントを書き本に貼りつける。冷えと軟弱な腕で段ボールを持ったダメージにより、ぷるぷる震えながら書いたので私の見本誌の文字はヘッタクソだったかと存じます。えーっと、ここでは相方と呼んでおきましょうか──のボールペン字は相変わらずころっと可愛らしく整っていて羨ましい限りです。

今回はトイレが近い。身体的にではなく、位置的に。mixi2でお見掛けし、その後noteもやっていらっしゃることを知ったホシガラスさんが、始まる前にまよなかあひるを買ってくれた。差し入れまでいただいちゃってありがとうございました。斜め前にはつるさんとき子さんのブースが見える。その隣にはゆにおさんも。ゆにおさん12時半で帰っちゃうらしいから先に寄っておかなくちゃ。

などときょろきょろしているうちに11時になり、開場した。ぞろぞろぞろぞろ人がやってくる。ほんとに何があった? ってくらい一目散にやってくる。そしてみんな見本誌コーナーに吸い込まれていく。まあ、こちらにお客さんが来るのはしばらく先でしょうよ、とのんびりしていたらいきなり知り合いの皆さんが次々といらしてくれた。半ば同窓会状態でキャッキャするも、知り合いの方々が買い物に出かけてからなんだか雲行きが怪しい。なんかここ周辺(トイレ周り3列くらい)やけに人通りが少なくない……?

しばらく会場を眺めて分析するうち、①見本誌コーナーが反対側にあること、②人気のエッセイゾーン、純文学ゾーンのちょうど間に位置することが要因で人の流れがこちらに来ないらしいことがわかってきた。え~、なかなかの引きを当ててしまったな。来た人はもちろん真っ先に見本誌コーナーに向かっていくので、ブースを物色するスタート地点も見本誌コーナー側になる。我々のブースはちょうど反対側、しかも会場の奥から歩いても手前から眺めても疲れやすい真ん中あたりのゾーンに位置するというダブルパンチ。去年の文フリ広島では見本誌コーナーが会場の真ん中にあって、お客さんが会場の左右に分かれるスタイルになっているのがすごくよかったのに。さらに前々回の広島みたいに休憩スペースがあるならまだしも、休む場所もないのでお客さん側の集中力が切れがち。目の前を歩く人たちが声をかける間もなく足早に去っていく。私たちの場所は通過地点でしかないのだ。

たまにねこねるにっきのポスターに反応してくれる人に、全力で売り込みをする。「猫が書いた日記なんですよ」とアピールすると、へえ!と目を見開いてくれる人とふ〜ん、となる人で反応が二極化する。聞いてみると、鈍い反応の方は犬派が多かった……。しかし猫派も猫派で、「実はうちもこの前亡くしたばかりで……」という人がいて、それはさすがに売れない!落ち着いたときにはぜひ!と送り出すしかなかった。難しい。

不思議なことに、見本誌コーナーからねこねるにっきを買いに来てくれる人が見当たらなかった。相方曰く「シールを貼れるいい場所がなかったから」とのこと。確かにタイトルは一部隠れたけどシールに書いてはいたし……そんなに悪影響した? ちなみに同時に置いていたまよなかあひるは、見本誌で気になって来てくれた人が何人かいた。やはり分厚さ? 分厚さなのか?? でもねこねるにっきを前編後編で分けたらこの作品が成り立たないのだよ。毎日書いていた日記を極限まで削ってこれなのだよ。わかってくれよ〜〜!!!

あとは、会場をぐるりとめぐって思ったけれど、猫はすでに溢れている。まさに猫の飽和状態。だけど「猫が猫として書いた日記」は文フリ広島上唯一無二だった。気づいてさえもらえれば絶対に売れたのに……と、完全に他力本願な情けない悔しさが過ぎる。そういえば去年は何人か存在した「Twitterで見て気になって来ました」という人が今年はいなかった。ブースの運もあるけれど、もっと宣伝はするべきだったのかも。直前はわりとしつこいくらいに宣伝していたつもりだったんだけど、目に留めてもらえるほどではなかったのだろう、きっと。(だけどそもそもSNS上の盛り上がりが比較的いまいちだったような気がするのは……気のせいか……)

ねこねるにっきは結果的に10部売れたので、売上的には弊ブース最高額だった。次の売上はまよなかあひるの16部。あとはちまちままちまち、といった感じで合計42部売れました。去年は50部くらいだったけど、ねこねるの単価が高いので売上は去年を超えた……のだろうか。去年の記録は紛失してしまったのですよね。しかも部数カウントだけで今まで金額の計算をしてこなかった。それも今まで出してきた本はどれも300円400円だったので、わざわざ計算しなくても部数でなんとなく分析はできるようになっていて。ねこねるにっきが増えたらそうもいかなくなってくる。

帰り道、相方が「ごめんねそうきち(ぺろきちの本名)……とうちゃんうまくできんかった……」とひよひよしていて、やっぱり期待して行くものではないなあと反省。当日にならなきゃ売れ行きなんてわからない。本当に。去年が買い出しに行くタイミングを逃すくらいテンポよく売れた実感があるだけに、正直なところ悔しさが残った。それでも周囲のブースに比べたら売れた方だとは思うので、贅沢な悩みなんですけどね。

お客さんの傾向も変わった。去年はもっとゆったりと、ブースを一つずつ物色しながら歩く人が多かったのに、今年は目的のブースを目指してひた走る、お目当て以外は見向きもしないぜ!みたいな人ばかりだった。こちらも声をかけづらく、道行く人に小声で挨拶するくらいしかできなかった。去年は足を止めてくれた人に「これはこんな本で」と説明する時間がもっと与えられていたんだけど、出店数が増えるとこうなるのか……と切ない気持ちに。200ブースくらいのときのバランスが一番よかったよね。

今回開始からいきなりお客さん多くない!? と思っていたらどうやら有名人が出店していたらしい、ことを終了後に知る。元アイドルの方だとか……。その人が限定150冊の本を販売していたから、あんなに早くから入場待ちがいたのかもしれない。ということは、来場者1300人から出店者300人ちょいを引いてお客さん900人ちょいのうち、どれだけかはそもそもアイドルの本しか買っていなかったりする? 会場全体を眺めていても、体感としてお客さんが増えた感じはしなかった。過疎ってる時間はかなり過疎ってたし。いや、それでも #文学フリマで買った本 を見ているとアイドルの本に追加で買っている人の方が断然多かったし、やっぱり何かが刺さらなかったんだろうなあ……。でも、エッセイが売れやすい中で小説が一番売れたのは個人的にちょっと誇らしい。

消化不良感が残るだけに、友人知り合いの存在が本当に救いだった。これもひとえに、去年出店した自分、そしてここまで活動を続けてきた自分のおかげだ。きちんと積み上がっているものはある。だってつい2年前まで、この地方における私の人間関係は無に等しかったのだ。それが私のために、私をめがけて広島まで足を運んでくれる人たちに恵まれるまでになった。やめなければ、必ずいいことはある。最後は切実な思いに駆られる文学フリマ広島だった。

@maumau_5
わたしの庭です note.com/maumau_5