酉島伝法著『奏で手のヌフレツン』読了。
うひょー。
さっきも書いたけれど、壮大なドラマです。
第一部は朝ドラ。生活が丁寧に描かれる。仕事場学校病院(とは呼ばれないが)や家庭での様子を通じてこの世界のありようが明かされていく。そんななかで、事件や事故、問題が発生していき第二部につながる。
第二部はもう大河。物語は大きく動き、最後の数十ページのクライマックスに向けてどんどん加速度がついていく。そして。
なんという鮮やかな壮麗な結末。想像を絶する大規模なオーケストラが奏でる音を文字だけでこんなに表現できるんだ。4代に渡るドラマをこんなにも心に響く形に終結させられるんだ。感動がとまりません。
あと、ファンタジー巨編て書いてる人もいるけど、SFですよ。余韻がすごい。圧倒されました。
作者お得意の造語にはクスっとさせられるものもあり、とても楽しめました。また登場人物の言葉遣いのバリエーションがそれぞれの性格や出自が反映されているようで、これにも感心しました。
ジェンダーのありかたなども考えさせられる作品だと思います。
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以下ネタバレ
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楽器の名前が見事だと思いますが、初節苦、涙石など痛みにつながる単語たちや、太陽によって生かされていることがよくわかる、陽呑み児などの言葉が特にお気に入りです。一番は、蟹卵の望みをかけた、ですね。いやほんますばらしい。