介護のはなし:心の中で詐欺師を鋸で挽く

maya9
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オレオレ詐欺があの手この手で高齢者をだまくらかしてきたせいで、地味に迷惑を被っている。

耳が遠い高齢者、施設に入った高齢者などのために、何かしらの手続きをしようとするたびに、委任状だけでは足りずになんだかとてもややこしい確認手続きが必要になり、それでも最終的にはご本人でないとダメです、ガラガラガッシャーン!とシャッターをおろされたりするのだ。

元を正せば、すべてオレオレ詐欺のせいだ。

余計な手間が地味に積み重なっていくと、オレオレ詐欺に加担したものはすべて「黄金の日々」の川谷拓三のような目に遭えばいいと呪いの念を送るほどにイライラする。

特に厳しいのが銀行関係で、私の父も義父もかなり耳が遠いのだが、「ご来店いただくか、あるいは電話でご本人だけに教えます」という事態に何度か陥った。

あるときなど、銀行との電話で義父が全然聞こえてないので、横から「生年月日を聞かれてるよ」とか「住所を聞かれてるよ」などと助け舟を出していたら、「今、隣で指示を出されている方はどなたですか!? どのようなご関係ですか?」と詰問されていた。とはいえ、そもそも最初に私が電話をかけ「長男の妻ですが、義父は耳が遠いのです」と断ってから、義父に電話を代わっているのである。まるで聞こえてない義父は「はあああ?なんですか?誰ですって!?」と何度も問い返していて、そこで「長男の妻ですと言え」と指示を出そうものなら、もうめちゃくちゃ怪しい感じしかしない。埒が開かなくて「お義父さん、オレオレ詐欺だと思われてんだよ!」と横で伝えたら、「なんだそりゃアハハハ」とウケていた。でもそれは銀行が求めている答えではないので、手続きはなかなか進まない。

父の休眠口座を解約するときも大変だった。足が不自由だと説明しても、本人が来店するしかないというので、かなり距離のある銀行まで夫と一緒に車椅子を押して行った。

書類の記入も本人じゃないとダメというのだが、父は利き手が不自由なので、小さい枠に数字を書くのが大変だから私に代わりに書けと言い、そこでも銀行と少々ごたつきつつも書類は私が記入し、さて口座の残金は近くの別の銀行口座に入金しようと思っていたら、現金では高齢者に渡せないという。電話で確認した時は大丈夫って言ったじゃん。それに私や夫もいるし、私の身分証明書も見せているのに、なんでだよ、と思ったけど、銀行の人は大変すまなそうにしていて、こちらも面倒くさくなったのでその場で振込手続きをした。

でも、やっぱりなんだか釈然としないのだった。しかし、こういうのは耳がまったく聞こえなかったり、目が見えなかったり、一緒に手伝ってくれたりする身内がいない人はどうしてるんだろう。

@maya9
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