『炉心ノ在処』という企画に参加していた

8Fu²
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こんにちは。大槻もしくは蜂藤です。

今日の記事はアドカレらしいよ。アドカレって大好き!!他人のまわしでおすもうし放題!開催してくれてありがとう!

というわけで今日は去年の2月にやったクエノ短期企画とそのPCについて話します。

先に断っておくんですけど、一年分の感情を書いたので5200字あります。特に後半から加速度的に湿度が上がっていくから吸水マットを用意しておくんだな。


・どんな企画だったか、そもそも短期企画とは?

クエストノーツには「短期企画(通称『短期』)」と呼ばれる遊び方が存在しています。いにしえの支部・ツイ企画出身者にわかりやすく説明すると、クエストノーツというゲーム自体が話の本筋や終わりのない無期限企画のようなものなので、ユーザー主体で一定の期間参加者を集めてクローズドな設定や環境で遊ぶ企画内企画のようなものです。

「一ヶ月後、後日談として全員ロストする日常系」とかもあれば、「普通に冒険者の宿に冒険者が一ヶ月滞在するだけ」みたいなものもあります。そんな中今回お話する短期企画『炉心ノ在処』は、

「人のために造られたゴーレムが数多く存在する国の街『バベル』が、10年前突如放棄された。人間が去り、与えられるべき命令を失ったゴーレムたちは己の判断で街を維持し続けていたが、ついに国から街が解体されることが通告される。解体の日まであと40日。街に暮らすゴーレムとそこに流れ着いた人間たちは街を出るか、街と共に死ぬかを選ぶことになる。」

概ねこういった内容。公式な文章ではなくて、要約した自分の言葉で書いてあるので、その辺りはご了承ください。

ここでのゴーレムは『イミテイター』と呼ばれていて、自分の意思で物を考える事も自己成長も出来る存在。アンドロイドとかのほうがイメージは近い。

そんなイミテイターの他に街には流れ者や捨て子、故あって街を訪れた冒険者といった人々も存在していて、彼らは街としての体裁をなんとか保ち、あるいはもう保てていないものをまだ保てているとしながら暮らしている。参加者は「イミテイター」か「放浪者、旅人(=人間)」のどちらかの立場を選んで一ヶ月間この街での最後の時間をRPする。

ここまでが概要です。

続きはキミの目で確かめてみてくれ!と言いたいんだけどサイトとかももうないので俺の記憶の中からしか出てこない。俺の頭の中覗いてくれませんか?その方が説明が早いので……という戯言を吐き散らかしながら、概要の説明を終えます。

・使ったキャラとRPプランとか

こんなキャラ。

名前は「RB2049-MA "Gray"Harvey」、キャラとしての登録名は「[2049]」でした。でした、というのは今は違うからです。

詳しく説明をすると、「型番を名乗っていたが自分の本来の名前を名乗るようになる」というストーリーをやりたくて、それが叶ったので今は「ハーヴィ」という名前のキャラデータに変更されています。

プロフィールはこんな感じ。

長い!!要約!!

「不具合で製造目的を果たせなかったので捨てられたゴーレム。捨てられたトラウマからわざと機械的に振る舞っているが本来は感情豊か」。

筆談、球体関節、操り人形がモチーフなので武器がワイヤー(糸)で、繰り糸を断つものとしてハサミのモチーフ あたりがデザインとして取り入れた要素です。球体関節と糸使いあたりかなり好きな要素なので、ゴーレムならいけるぞ!と喜んで真っ先に決めました。

ちなみに型番の「RB2049」は「ブレードランナー2049」からです。BとRを入れ替えて撹乱しているのが小賢しいですね。ブレードランナー大好き。魂を焼かれています。

このキャラを作るにあたって決めていたことがふたつありました。それが

・継続キャラとして企画終了後もRPすること

・そのためにPCの物語は明るく前向きに終わらせる事

という2点。企画の準備期間と実際の開催期間中はこれらを達成するための準備とRPに時間をかけました。不完全燃焼で終わったキャラクターを惰性で使うのではなく、一度物語を完全に終わらせることでそこから先を「新しい人生」として続けていきたいと思ったからです。

というわけで、企画開始前にざっくりとしたやりたい事のロードマップを考え、イラストやサイトをほぼすべて事前に準備しました。

この「全て」には「キャラクターが変化・成長した後」も含まれています。短期企画の開催期間は一度始まると別の作業にかまけている暇がなくなるし、「あー、このキャラ頑張りたいけど絵が付いてないのが気になるし絵を描く気力もないから一旦冷蔵庫で寝かしておこ~」という事態が起こりやすい性格なので、自分がこのキャラをずっと使っていきたい!と思えるようなモチベーション維持のためには必要なことでした。

具体的なロードマップとしては、

「機械的に振る舞う」→「街の解体に伴い、本来の自分として振る舞うか悩む」→「自分らしくあることを決意する(※ここまでが継続PCとして使用するための必達条件)」→「(余裕があったら)決意の印として古い武器を捨てて新しい武器を持つ」→「街を出てリーンで冒険者になる」

こんな感じにしたかったので、サイトも使用したいアイテムのテキストや心境や環境の変化が来ることを想定して予めページを作成しておきました。

・うまくいったのか

目標に対して進捗200%くらいの結果になりました。

偉そうにロードマップだなんだと言っていますが、交流ゲーであり、プレイする企画(=作品)自体に明確なストーリーラインはなく、誰と会って何を話すか、その時々の運や縁がほとんどを占めていて計画通りいかない事は当たり前ですし、そもそも私以外の人々は私が自分のキャラクターの物語を動かすための駒でもありません。

そんな中で「200%!」と堂々と言えるのもまた、自分一人では成し得ない交流ゲーだからこそだな、と思っています。あの時関わってくれた方々には本当に感謝しかないです。みな、俺の口からドブ色のポエムを吐く攻撃に辟易していたことでしょう。RPしてくれてありがとう。

で、具体的にどの辺がうまくいったのかというと、まず「本当の自分に戻るか悩む」「2049からハーヴィに名前を変える」の第一目標が参加から4日で終わりました。早すぎてハヤスギボンプになる。 そのため他のPCと初対面の時点でもう既に「ハーヴィ」だった、というパターンもかなりありました。

短期企画はリアルの都合や体調を整えるための休みの日なども考慮すると一ヶ月というのはかなり短く、その中でやりたい事がある場合秘匿解禁や問題解決は早い方がいいというのが持論です。風向きがこっちに来るのを待っているうちに終わりかねないので、何かしたい事がある時はとにかくゲーム内外で「RPを、RPをしませんか…」とインターネットマッチ売りの少女として彷徨うことにしています。

この企画は40日ほどだったので10~15日くらいでの解禁を目途にしていて、それでも難しそうなら誰かにRPの打診をするつもりでいましたが、マジで早かったね……。けどそのお陰でPCとしての一番重要な目標を早々に解決できたので、そこから生まれる新たな問題と向き合ったり他のPCたちとの縁を深めていくための時間としてたっぷりと活動する事が出来ました。そうした余剰分のパワーでフル稼働出来たので、キャラ個人のエンディングも何一つやり残しのない満足いく形で終わらせることが出来ました。

嬉しかったのは、自分が「もうこのキャラの話終わったから後はのんびりでいいかな~」とならずにまだまだやるべき事が沢山ある!という気持ちで挑めたことです。結構燃え尽き症候群に陥りやすいので、こういうモチベーションを40日間絶やさずにいれたのは本当に良かったと思っています。

余談ですが、最終的にハーヴィというキャラクターは二人の新しい家族と一緒にリーンで暮らすことになりました。少年少女が賃貸で毎日一個のベッドに三人詰まって寝てます。え!?惚気!?急に!?

自分は宗教上の観点から他の方のキャラクターとペアになるような交流はしないと決めているのですが、この時ばかりは「そういう結果にならないのは……そっちのほうが"変"!!」という気持ちがあった事や、相手PCのお二方のスタンスや交流のペースも自分のスタンスもお互いを傷付ける事がなさそうで、メンタルにやさしかったのでそうなりました。本当にのびのびと好きにやらせてもらっているのでとても感謝しています。

というのが、ハーヴィ(2049)というキャラに関するRPのリザルトでした。

・語ろうにも語り尽くせない事の言語化パート(長い)

ここまでずっと「RPとストーリーラインの計画」みたいな話をしていたのでそろそろ皆が私の事を感情のない冷酷なRPマシーンと思っている可能性を危惧しています。

けど前述の通り、やるべき事をやるために走り回った40日間でした。一緒にRPをしてくれる方々は私よりずっとRPが上手くて、喰らい付けるように、がっかりさせないように、いいRPになるように必死に頭をフル回転させていました。後から見返して返答を間違えちゃったなとか、読み違いをしてしまったとか、ちょっと言いたい事が先行しすぎていたなとか反省点ばっかりで悔しくて恥ずかしい事も多かったけど、それでも「あの時はいいRPをしていた」とちょっとだけ自分を誇ってもいいか、と認めることが出来ます。

RPって危険な遊びだと思っています。自分じゃない誰かの行動や人生をシミュレーションして、その思考で他人と交流するなんて正気の沙汰ではない。呑まれてしまう。上手く行かなかった時、よくない事が起こった時、それは周りや自分を深く深く傷つけるし、その傷は自分の脳と世界の中で本来踏み入るはずのなかった領域で起こっている、と感じる時があります。ただの遊びでこんなに感情を動かしていいものなのかと。

それでもあの時のRPの事を今でもよく思い出します。日常のふとした時に、パっと交わした言葉が駆け抜けていく。終わっていく街のどこか色褪せた風景と、街を歩くときいつも聞いていた音楽といっしょに。

「ハーヴィ」と名前を呼んでくれた人たちを思い出します。どんな表情で、どんな声色だったでしょうか。ただの妄想でしかないとしても、その時何が見えて何が聞こえていたのかがハーヴィを通してなんとなくわかるような気がしています。

正気の沙汰ではない、立ち入るはずのなかった領域の中で生まれた感覚です。ただの遊びと切り捨てる事は出来ません。

***

あと一ヶ月半くらいであれから一年になるらしいです。

もう帰る事のない故郷を旅立って一年。まだ会える人たちと、もう会えない人たちと、これからも一緒に居続ける人たち、彼らの生きてきた時間の切り取られた40日という群像劇から一年です。

人に造られた存在であるこのキャラクターの命題は、「自分は生き物だと主張すること」ではなく、「己の心のままに在る事=生きる事、それを自分が出来るという事実を”思い出す”こと」であったと思います。それは冬に始まって春の始まりに終わった炉心ノ在処という企画と同じように、苦難の冬の時代から決別し、暖かな春に向かっていくまでの物語でした。私一人では絶対に成し得なかったことです。キャラクターが生きる舞台があり、キャラクターと関わってくれる人々の存在があったからこそ開かれた世界だと強く感じています。

ハーヴィは新しい生活の中でいろんな場所に遊びに行って友達を作ったりご飯を食べたり仕事をしたりとても充実していそうです。バベルという街で出来た『絵を描く』という趣味もとても気に入っていて、きっと毎日いろいろなものでスケッチブックを埋めているんだと思います。キャラクターは描写しない期間にも存在していますが、描写することで初めて事実として誰かに伝えられるものなので、出来るだけ長くこのキャラクターと付き合っていきたいと思っています。

という感じで、右下の字数カウンターが5000を超えてもまだまだ言いたい事が山ほどありますが、最後に企画期間中に使っていたハーヴィのログ掲載サイトと、企画のメインテーマとして使用されていた楽曲(専用曲としてコミッションで作ってもらったらしいです。すごい!)を紹介して終わります。

壮大で物悲しくてそれでいて優しくて、イミテイターと呼ばれるものたちが在り続けた時間に思いを馳せずにはいられないこの曲が大好きです。これ毎日聴いてたんすよ、いいでしょ。

街の屋外で流れていた曲もとても好きでした。荒野の中にある街の日常と少しの寂寥感が混ざった音の中で何度も言葉を交わしたことを思い出しては、今はもうその言葉と音が重なる事はないんだと思い至って、懐かしいような、眩しいものを見た時のような感覚になります。

これはサイト。記事内で書いた通りキャラの変遷やログがすべてあります。40日の開催期間に対して記事数が58あるらしいです。


脳裏に焼き付いて離れない、遠い故郷をくれてありがとう。

おわり!ンワ!

@maybe_770
人生は画面端  アイコンはなか憲人先生にskebで描いていただきました。超感謝!