社会人になってから、プライベートとそれ以外(=仕事)との境目がなくなって休日を純粋に楽しんでいると思えることが極端に少なくなっていた。休日でもプログラミングをしたり技術書を読んだり、仕事につながる何かをしていないと不安になっていた(それが楽しいからやっている、というのももちろんあるんだけど)。この業界にくるのが人より遅かったという焦りもある。
だけど最近になって、10代の頃やそれ以前の趣味にふたたび出会い、それを純粋に楽しんでいる自分に気づいた。
大きく例をあげると、読書(技術書以外)、野球観戦と好きなバンドのライブ。
読書がふたたびできる(あえて”できる”と表現する)ようになったのが自分の中でとても大きい。小学生〜高校卒業くらいまでは読書がいちばんの趣味だった。村上春樹、辻村深月、山崎豊子をはじめとして小説全般が大好きだったし文庫本をコレクトするのも楽しみのひとつだった。ところがエンジニアになって技術書を読むようになってから、どうも純粋に本を読むことを楽しめなくなっていた。気になる小説を手に取っても最後まで読み切れることがほとんどなかった。読みはじめてすぐに我に返ってしまうのだ。
野球は小さい頃に兄の見よう見まねでプロ野球を一緒に見るのが楽しかったが、大人になって自分でふたたびハマるとは思っていなかった。好きなバンドのライブやフェスに行くのも、そういうことをまた純粋に楽しめると思っていなかった。これらの趣味をひとりで楽しんでいるのも発見として大きい。
元々極度の人見知りだった。社会人になってお酒が飲めるようになってからはお酒の力で人見知りを少し克服できた。今までがそうじゃなかったのもあって、社会人になってからは積極的に人と関わるようにしていたし飲み会にも積極的に行くタイプの人間になった。一人でいるより人といる方が安心できるような気がした。だけど最近は一人の時間が結構大事だ。もちろん人と話すのも楽しいしその時間も大事なんだけど、誰とも共有していない自分だけが好きなもの、自分だけの世界を楽しむ時間があることが自分をハッピーにしてくれている気がする。
仕事と全く関係のない趣味を楽しめるようになったことのひとつの理由として、30代を前にして仕事に対して精神的に少し余裕が出てきたのがあると思う。あとは三つ子の魂百までというか、一度好きになったものには再会するきっかけさえあればまた好きになれる、楽しめるんだなという発見もあった。一人の時間についても同じかもしれない。
大人になってまた好きなものができたことが嬉しかった。自分にとって趣味は人生を豊かにしてくれるものだ。自分で自分の好きなものを知っていて自分の機嫌を取れるのはとてもいい。大事にしたい。