十月二十日(土)

mayo_fujita
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公開:2025/12/20

 文フリで購入した『桃鞜2025秋号』を読み終えた。初めて文フリに出向いた時に自分でもアンソロジーを作る気になっていたので、何冊かアンソロを購入した。『桃鞜』もその一つ。ゲイの小説アンソロジーである。ゆーさんという方の小説がとても良かったので二度目の文フリではゆーさんの作品を読むために購入したが、他のメンバーも加わり今では粒揃いのアンソロジーになっている。

 要は、私が女性より男性が登場する小説の方が好きなのだ。女性ならいわゆる男っぽい性格の人がいい。男性が書く女性が好き、というと語弊がある。いや、女はこんなんじゃない、この人女を知らないねと思うこともあるから。ただ、そういう例を除けば、男性作家が書く女性像の方が好きだし、女性が登場しなくても特に気にならない。

 そんなわけで、書き手は男性ばかり、登場人物も男性が多い『桃鞜』は私にとって心地良い作品集なのだ。今回は特に「特集・プレイリスト」ということで、音楽を起点にした作品集になっているので、それもいい。このところ音楽から遠ざかっているが、音楽が出てくる小説は大好きだ。といっても、このアンソロの作家は(多分)三十代中心の若い人たちなので、知らない曲ばかりかも? と思ったのだが、最初の小説、ゆーさんの「僕らの罪、あるいは」がREBECCAの『フレンズ』だったでの安心して世界に入り込めた。今でも暗譜で歌える曲だしね。

 ゲイの恋愛自体は結婚という結末になりにくいことを除けば男女の恋愛とも重ねることができるが、ゲイの男性同士の友情は女同士の友情とはまた違う気がして、その描写が面白い。透明な寂しさをたたえたゆーさんの作品も良かったし、ラストのかねこさんの作品も好きだ。なんか今回は好きとかいいしか書いていないが、次号も買う。通販の案内を見たことがないので、文フリでしか買えないようだ。この本を買いに文フリに行くと思える楽しさ。

@mayo_fujita
読書日記を書いています。小説メインで色々読みます。古い小説と海外文学、ZINEや同人誌など。